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TP Controversy Report〈56〉 親会社主導のグローバル移転価格文書化対応のすすめ

EY税理士法人  谷津 剛
EY税理士法人  松本 尚子

( 120頁)

1.はじめに

我が国でも移転価格3層構造文書が2016年に導入され,多国籍企業はコンプライアンス対応としてローカルファイルの作成に取り組んでしばらく経ちます。企業によってその対応方法は様々ではありますが,親会社が主導して海外子会社のローカルファイル作成に積極的に関与している例は決して多くはなく,海外子会社に現地コンプライアンス対応を含め,ローカルファイルの作成も一任している企業が多い印象です。さらに後者の場合は,海外子会社のローカルファイル作成に至る過程の詳細が把握できていない場合も多く,その結果,様々な課題が表面化してきています。また,時代の流れはBEPS2.0に移ってきており,親会社主導によるグループ会社の税務ポジションの把握が非常に重要になることが予測されます。本TP Controversy Reportにおいては,そういった課題解決の一助となりうるグローバル移転価格文書化についてご紹...