3月に公表された「第2の柱 グローバル・ミニマム課税」のモデル規則及びコメンタリーの概要
長島・大野・常松法律事務所 パートナー 弁護士 南 繁樹
1 グローバル・ミニマム課税の詳細の公表¹
OECD/G20を中心として約140国・地域 2 が参加する「BEPS包摂的枠組み」(以下「IF」という。)は、グローバル・ミニマム課税に関して、2021(令和3)年12月20日にGloBEモデル規則 3 (以下「モデル規則」という。)を公表し、2022(令和4)年3月14日、モデル規則の解説を記載したコメンタリー(以下「コメンタリー」という。)を公表した 4 。
第1の柱と第2の柱の大枠はすでに2021(令和3)年7月に合意されており 5 、同年10月8日には懸案であった世界最低税率が15%と確定した上で、7月に参加しなかったアイルランド等の参加も得て136国が合意していた(参加国は現在137か国) 6 7 。今般公表されたモデル規則とコメンタリーは、第2の柱の詳細を明らかにするものであり、第2の柱を実施へと前進させる意味がある。第2の柱の実施目標は、以下のとおりとされている。
実施目標
2022(令和4)年 各国国内法改正
2023(令和5)年 所得合算ルール(IIR)実施
2024(令和6)年 軽課税支払ルール(UTPR)実施
日本政府は、国際課税制度の見直しに関する合意を強く歓迎しており、GloBE規則についても、本年末に税制改正大綱が公表される2023(令和5)年税制改正において原則的なルールである所得合算ルールを導入するのではないかと見込まれる 8 。その場合、来年2023(令和5)年4月に開始し再来年2024(令和6)年3月に終了する事業年度に関しては、その18ヶ月後の2025(令和7)年9月末日がGloBE情報申告書の提出期限となる(モデル規則9.4.1条)。今から3年後である。
本稿では、GloBE規則に関するモデル規則とコメンタリーについて主要なポイントを解説する。本号では、モデル規則の全体像を概観し、次号以下で重要ポイントを解説する。なお、必...