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中国子会社からの利益還元にあたっての留意点(下)

Ernst & Young(China)Advisory Limited パートナー 坂出 加奈
EY税理士法人 パートナー 西 康之

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Ⅳ 商流変更

1.検討内容の概要

海外子会社から日本本社への利益還元方法としてロイヤルティやサービスフィーの見直しが選択肢として考えられるが、ロイヤルティではその対価算定の難しさから日本または海外での移転価格課税リスクの予見可能性が高いとはいえない。また、サービスフィーによる回収はロイヤルティに比べると対価算定は容易ではあるが、本社側での役務提供の対象活動の把握やこれに係る対価の計算業務等の実務運用が煩雑になる傾向があり、また、コストプラスの対価算定を採る限り利益還元の金額的影響はロイヤルティに比べると少なくなる可能性がある。これらに代替する手段として、事業上の合理性(例:日本本社主導でのグループ内の生産配分、各市場での商品企画の管理、グループ内価格の管理等)が認められれば、日本本社が海外子会社同士のグループ内取引の商流に介在し、日本本社の機能等に見合うリターン(またはリスク)を得る(または負担する)方法も一考の価値がある。

図表6:日本本社商流介在への商流変更(イメージ)

【商流変更前の諸前提】

▶ 中国製造子会社は中国及び第三国の販売子会社に製品を販売する

▶ 中国製造子会社は当該製品の製造に...