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2022年1月20日に公表されたOECD移転価格ガイドラインの概要と日本企業への影響

東京共同会計事務所 移転価格戦略コンサルティンググループ統括 パートナー 丸山 裕司

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1 OECD移転価格ガイドライン公表の経緯

2022年1月20日、経済協力開発機構(以下、「OECD」)から最新版の移転価格ガイドラインが公表された。本ガイドラインには、2018年から2020年にかけて、OECDから公表されていた以下のガイダンスが新たに含まれている。

OECD移転価格ガイドライン2022年版に新たに加えられたガイダンス
(1)
取引単位利益分割法の適用に関する改訂ガイダンス
(2)
HTVIに関するアプローチの適用の原則に係る税務当局向けガイダンス
(3)
金融取引に関する移転価格ガイダンス

(1)に関しては、移転価格ガイドライン第2章「移転価格算定方法」第Ⅲ部C『取引単位利益分割法』の全面改訂版とされ、(2)に関しては、移転価格ガイドライン第6章「無形資産に対する特別の配慮」の別添Ⅱとされ、(3)に関しては、新たに第10章「金融取引に関する移転価格の側面」(リスクフリー、およびリスク調整後の収益率に関しては第1章)として追加されるに至っている。

各ガイダンスが公表されて以降、ガイダンスにしたがって国内法の整備を進める国が出始め、税務調査の現場でもガイダンスに則った執行が行われているケースが散見されるようになっていたが、今回、上記3つのガイダンスが正式に移転価格ガイドラインに追加されたことを受けて、今後、その動きが加速することが想定される。

本稿では、新たに移転価格ガイドラインに追加さ...