[全文公開] Subject to Tax Rule(STTR)/租税条約の特典否認ルール
佐和公認会計士事務所 公認会計士・税理士 佐和 周
本連載は、国際税務でよく使う英語をピックアップして解説していくものですが、今回も 前回 に引き続き、デジタル課税等に係る新しい国際課税ルールに関連する用語です。
STTR (租税条約の特典否認ルール)とは、軽課税国への利子・使用料等の支払いに対し、支払側の会社の所在地国において、租税条約の特典である源泉税の減免を否認して、最低税率(9%)まで源泉徴収するルールをいいます。
前提として、 STTR は第2の柱( Pillar Two )に関連する用語です。第2の柱は、端的には、国際的に合意された最低税率(15%)を導入するものであり、その具体的な枠組みには、「国内法上の措置」のほか、「租税条約上の措置」があります。
前々回 の IIR ( Income Inclusion Rule /所得合算ルール)や 前回 の UTPR ( Undertaxed Payment Rule /軽課税支払ルール)は、いずれも国内法上の措置でしたが、今回の STTR については、それらとは異なり、租税条約( tax treaty )上の措置と整理されます。
ちなみに、 STTR の STT 部分、すなわち、 subject to tax というのは、( to be subject to tax の形で)「課税される」という意味で、( to be ) taxed と同じようなニュアンスです。 subject to tax という表現は、「課税されるのか否か」を示す際に非常に便利な表現なので、覚えておいて損はないと思います。
STTR については、「源泉税を減免しない」(つまり、源泉地国で課税される)ものなので、そういう意味合いで、 subject to tax という表現が使われているものと考えられます。
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