移転価格税制についての素朴な疑問⑦ 最適方法はどのように選定されるか(2)
外国法共同事業 ジョーンズ・デイ法律事務所 弁護士 井上 康一
Ⅰ はじめに 1 問題の所在 2 本稿で取り扱う事項 Ⅱ 独立企業間価格の算定方法 1 算定方法の概要 2 算定方法の分類 Ⅲ 最適方法の選定 1 基本三法について 2 DCF法の劣後
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Ⅳ TNMMの種類と特徴 1 TNMMの種類 2 TNMMの特徴 Ⅴ TNMMの適用例の検討 1 問題の所在 2 移転価格参考事例集の検討 3 まとめ Ⅵ まとめ 1 最適方法の選定の手順 2 日系の多国籍企業グループへの当てはめ 3 まとめ |
Ⅲ 最適方法の選定
3 簡易な算定方法
一定の類型の国外関連取引については、以下のとおり、移転価格事務運営指針が簡易な算定方法を定めている。
まず、ともに金銭の貸付け又は出資を業として行っていない親会社(内国法人)と外国子会社間の金銭の貸借取引については、同指針3―8が、独立価格比準法に準ずる方法と同等の方法 15 の適用として、以下の順序で独立企業間利率を定めることができる旨規定している 16 。
《1》通貨、貸借時期、貸借期間等が同様の状況の下での借手の銀行等からの調達利率
《2》通貨、貸借時期、貸借期間等が同様の状況の下での貸手の銀行等からの調達利率
《3》貸借取引...