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税務部・経理部も知っておくべき 関税・特恵税率活用の基本 第2回 関税分類(HSコードの決定方法)について

公益財団法人日本関税協会 調査研究部長 松本 敬
公益財団法人日本関税協会 教育・セミナー部長 長谷川 実也

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1.はじめに

第1回 にも少し触れましたが、輸入貨物に対し、いくらの関税及び消費税を支払う必要があるかを知るためには、その輸入貨物に課される関税率を知る必要があります。関税率を知るためには、当該輸入貨物が関税率表のどこに分類されるかを決める「関税分類」という作業が非常に重要となります。

各国政府は自国の財政政策や産業政策等に基づき、輸入貨物ごとに税率を設定しています。輸入貨物に対しどのような税(例えば、従価税、従量税、差額関税、季節関税等)を用いてどの程度の税率を課すかについては、各国は自国の関税率表に記載しています。現在、我が国を含め世界200以上の国・地域において、関税率表の基となる品目表として世界税関機構(WCO)が定めた「商品の名称及び分類についての統一システムに関する国際条約(HS条約)」の別表であるHS品目表が採用されています。したがって、HS品目表の分類方法を理解しておくと世界のどこの国や地域においても、その国の関税率表を参照することにより自社の輸入貨物に対しどの程度の輸入関税が課されるかを知ることができます。

HS品目表は、各国の関税率表 として利用されているのみならず、貿易統計の収集・編纂、WTOや経済連携協定(EPA)の譲許表 、貿易政策の手段(アンチダンピング関税、輸出入規制など)、貿易規制物品の特定とモニタリング(例えば、オゾン層破壊物質等)等、多岐の用途に用いられています 。特にEPAにおいては、譲許表に加え原産地規則の品目表としても採用されており、輸出入される物品の原産性の判断を行う上で重要な役割を果たしています。

このため、第2回では関税分類(HSコードの決定方法)の基本について解説します。今回は税務部・経理部の業務においては、なじみの少ない方もいらっしゃるかもしれませんが、重要な点なので説明していきます。

2.HSの体系

(1)概要

HS品目表は、世界中に存...