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TP Controversy Report〈58〉 移転価格検証損益:コロナ禍における海外現地製造子会社の稼働率調整の留意点

EY税理士法人  高垣 勝彦
  田口 史佳
  川嶋 高司

( 96頁)

1.はじめに

新型コロナウイルスの感染拡大の本格化から2年半が経過しようとしています。日系企業の状況を見渡してみると、2020年度以降、感染拡大及びそれに対する各国政府の対応施策の影響により、日系の国外製造関連者においても利益率が大きく下がってしまい、特に移転価格の検証や現地法人向けの移転価格文書の作成において苦慮されているケースが増えています。

この点、ベンチマーク分析にて選定される比較対象企業においても同様に新型コロナウイルス感染拡大の影響を受けているともいえますが、その影響の仕方や程度は一様ではないのは想像に難くなく、個々の会社の特性に応じた特殊要因分析が必要となる場面もあろうかと思われます。本稿ではその一例として、出社制限や移動制限を受けて工場の稼働率が著しく低下した現地製造子会社の移転価格分析において考えられる特殊要因分析について、実務上の留意点とポイントを解説します。

2.稼働率調整...