※ 記事の内容は発行日時点の情報に基づくものです

令和4年度税制改正 国際課税関係の改正について

  中西 佑太

( 14頁)

はじめに

経済のデジタル化・グローバル化や取引の多様化・複雑化が進展する中、国際課税制度の重要性はますます高まっています。近年、我が国はBEPSプロジェクトの合意事項等を踏まえ、国際的な課税逃れの防止に向けて累次の制度整備を行ってきたところです。昨年10月には、OECD/G20「BEPS包括的枠組み」において、経済のデジタル化に伴う国際課税上の課題への対応について、国際的な合意がまとめられ、現在もOECDを中心に、引き続き、制度の実施に向けた具体的な課題等について精力的な議論が続けられています。国際課税制度については、経済活動の重要なインフラとして、こうした環境の変化や重要性の高まりを踏まえ、健全な経済活動を支援しつつ、公平な競争条件を確保し、国際的な課税逃れに対しては的確に対応していく観点から、引き続き、必要な見直しを行っていく必要があります。

こうした基本的な考え方の下、令和4年度税制改正においては、主として以下のような見直しを行っています。

第一に、近年、恒久的施設を有しない外国法人の法人税の申告について、所得の金額に比して過大な利子を計上することにより課税所得を圧縮していると認められる事例が見受けられることを踏まえ、これに適切に対応する観点から、過大支払利子税制の適用対象範囲の見直しが行われました。

第二に、外国子会社合算税制における、いわゆる保険特例について、企業活動の実態により一層即した仕組みとする観点からの見直しが行われました。

このほか、子会社からの配当と子会社株式の譲渡を組み合わせた租税回避を防止するための措置(子会社株式簿価減額特例)の見直し、グループ通算制度の施行に伴う外国税額控除の見直し及び国内源泉所得の範囲の明確化がそれぞれ行われています。

これらの改正を含む国際課税の改正は、次の法令により行われています。

(法律)所得税法等の一部を改正する法律(令4.3.31法律第4号)(政令)所得税法施行令の一部を改正する政令(令4.3.31政令第136号)法人税法施行令等の一部を改正する政令(令4.3.31政令第137号)租税特別措置法施行令等の一部を改正する政令(令...