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海外取引に対する源泉所得税の税務調査動向

 税理士 阿瀬 薫

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(編集部)

1 税務調査動向

(1)海外取引法人に係る源泉所得税調査の状況

国税庁の報道発表資料によれば、令和2事務年度(令和2年7月~令和3年6月)における源泉所得税の実地調査件数は、2万9千件で前年の9万件から約3分の1、非違のあった件数は1万件と、こちらも前年の2万9千件から約3分の1となっていて、コロナ禍が影響したものと思います。このうち、非居住者等所得について非違のあった件数は518件と、前年の1,345件から約4割弱となっています。

追徴本税額は14億円で前年の61億円から約4分の1となっていますが、私の記憶でも、調査1件で追徴本税額が165億円や100億円弱という事案もありましたので、追徴本税額の年度比較はあまり参考にならないと思っています。

同報道発表資料によれば、配当の受益者ではない外国法人を租税条約の免税要件を満たしているものとして扱い、源泉徴収を行っていなかった事例があります。また、週刊税務通信の3633...