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国際税務研究 日本国籍の居住者が相続人不明のまま死亡し、相続財産が相続財産法人となった場合の課税関係

青山学院大学 名誉教授 渡辺 淑夫

( 116頁)

設例

 日本国籍のA氏は、長年にわたり日本を離れて単身世界各国を転々とし、最後はB国で暮らしていたが、数年前に高齢化を理由に帰国し、古くからの親しい友人(日本人)で弁護士でもあるC氏の世話で高級有料老人ホームに入居して手厚い介護を受けながら生活していたものの、約1年前に老衰のために死亡した。

A氏は、かなりの資産家で、日本国内はもとより、長く居住していたB国内を含めて、かなり多額の預貯金、株式等の金融資産のほか、貸ビル等の不動産も所有していたが、生涯独身であった上、遺言らしきものも見当たらず、また、日本国内の知れたる親類縁者もことごとく死亡したらしく、C氏が中心となって、専門家の助けも借りながら...