※ 記事の内容は発行日時点の情報に基づくものです

海外現地の国際課税問題でよくある事例

デロイト トーマツ税理士法人 パートナー 黒坂 史明
デロイト トーマツ税理士法人 パートナー 藤村 崇
デロイト トーマツ税理士法人 パートナー 安田 和子

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1.はじめに

本稿はデロイト トーマツ税理士法人が令和3年度経済産業省委託事業(現地進出支援強化事業)の一環として実施した進出先国税制及び税務ガバナンスに係る情報提供オンラインセミナーの第22回及び第23回の「現地課税問題及び日本における国際課税問題のよくある事例」で取り上げた項目の一部につき、当該セミナーでは紹介しきれなかった付随論点を加え、改めて解説したものです。

我が国企業が海外展開にあたって考慮すべき課税に係る課題は多岐にわたり、進出先国の複雑な税制や毎年の改正内容、最新の税務当局の執行状況、我が国企業が進出先国で直面している課税問題等を網羅的に把握することは非常に難しい状況にあります。専門家等を活用して調査を行うにも大きなコストを要するため、先行的な調査を十分に実施せず、結果的に進出先国で予期せぬ課税を受けたという事例は多く散見されています。

本稿で取り上げる事例は国際課税問題全体のごく一部ではありますが、海外展開される企業の多くが潜在的に抱えている問題であるとも考えられます。実際に同様の経験をお持ちの企業のほか、未だ同様の経験のない企業の皆様にとって、本稿が進出先国での国際課税問...