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移転価格税制についての素朴な疑問⑬ 独立企業間価格はピンポイントかレンジか(2)

外国法共同事業 ジョーンズ・デイ法律事務所 弁護士 井上 康一

( 46頁)

Ⅰ はじめに………………………… 10月号 掲載

1 問題の所在

2 本稿の検討対象

Ⅱ 国税庁の見解と納税者の対応の整理

1 国税庁の見解

2 納税者の通常の移転価格対応

3 補足的説明

Ⅲ 局面ごとの検討

1 初期調査の局面

2 本格的な調査の局面

3 相互協議を伴う事前確認の局面

Ⅳ 納税者としての留意点……以下、次号掲載

1 問題の所在

2 納税者によるピンポイントとレンジの選択

3 「明確な差異」の取扱い

Ⅴ まとめ

1 検討結果のまとめ

2 納税者としての留意事項

3 さらなる疑問

Ⅲ 局面ごとの検討

1 初期調査の局面

(1)調査対象法人と国外関連取引の絞り込み

(a)「所得移転の蓋然性」についての判断

日系の多国籍企業や日本に拠点を置く外国籍の多国籍企業は多数に上り、しかも多種多様な国外関連取引を行っている。理論的にはこれら全ての国外関連取引が、日本の移転価格税制に基づく税務調査の対象になり得る。しかし、調査に割ける人員が限られている税務当局としては、その対象を絞り込む必要性に迫られる。このような絞り込みに当たっては、一般に「所得移転の蓋然性」についての判断が行われるといわれている 39

内国法人を頂点とする多国籍企業グ...