※ 記事の内容は発行日時点の情報に基づくものです

バーチャル組織の実践課題 第4回 バーチャル組織を活用したIP管理とグローバル人材プールを活用した内部監査

AsiaWise会計事務所 税理士 高野 一弘
AsiaWise会計事務所 公認会計士 山﨑 耕平
AsiaWise会計事務所 弁護士 久保 光太郎

( 57頁)

1.はじめに

事業活動のグローバル化によって、国内外を問わず、世界の拠点間で人材、資産の最適配置に向けた施策がますます重要となっています。

筆者らは、グループ企業の経営・運営上、必要となる要員とその所在地国が一致しないグループ企業管理体制を「バーチャル組織」と呼び、従来型の指揮命令系統に囚われず、場所さらには組織の枠を超えた企業管理形態の考察を行います。

連載第4回となる今回は実際直面しているであろうテーマとして、企業が「バーチャル組織」を活用して個社に分散所有されているIPの管理、活用を行うケース、並びにグローバル人材プールを活用したグローバル内部監査の実施を行うケースを取り上げました。それぞれケーススタディの形式を用いて考察してまいります。

2.ケーススタディ① 被買収企業IPの管理、活用

日本法人A社(製造業)は、国外に本社を有するB社(製造業)を買収し、子会社化しました。B社は多くの特許を有するテクノロジー企業であることがA社として買収を決めた重要な要素です。A社としては、買収後B社とA社のIPを総合的に活用し、業績、業容の拡大を図ることを目論んでいましたが、買収後の統合作業がうまく進ま...