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国際税務の相談室☆非居住者課税・源泉徴収等 コロナ禍の下での居住者判定に係るOECDガイダンスの考慮

東京富士大学 客員教授・税理士 伴 忠彦

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当社の社員Aは、2019年1月から、X国(日本との間で租税条約を締結)にある100%子会社S社の役員として現地に赴任していました。給与はS社が現地で支払っているほか、当社から格差補填給与を支払っています。しかし、コロナ禍の急速な拡大により、2020年6月30日に日本に一時退避帰国しました。その後X国では厳しい水際対策等が実施され、現地での膨大な感染者数や医療環境などを見ても、X国に戻って通常の勤務や生活ができる状況とは考えられませんでした。Aは日本の実家からリモートワークでS社の業務を行いますが、X国にあるAの住居は維持したままで、就労ビザも延長しており、いつでもX国に戻れる状態を保っていま...