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[全文公開] 国際税務の英単語 Substance-based Income Exclusion(実質的活動に基づく所得のカーブアウト)

佐和公認会計士事務所 公認会計士・税理士 佐和 周

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連載は、国際税務でよく使う英語をピックアップして解説していくものですが、今回も 前回 に引き続き、デジタル課税等に係る新しい国際課税ルールに関連する用語です。

GloBEルール( Global Anti-Base Erosion rules )に関する用語には定訳があるわけではないので、このシリーズでは、日本語訳自体よりもその用語の内容をお伝えすることを主眼にしています。とはいえ、今回選んだ Substance-based Income Exclusion をどう訳すべきかは、かなり悩みました。

前回 解説した超過利益( Excess Profit )は、「その国・地域における純GloBE所得( Net GloBE Income )から一定のカーブアウト額( carve-out )を控除した後の残額」として計算されますが、このカーブアウト額に相当するものが、 Substance-based Income Exclusion です。

そのため、上記では、これを「実質的活動に基づく所得のカーブアウト」と訳しました。 substance-based income の部分を「実質的活動に基づく所得」と訳し、 exclusion を「カーブアウト」(言い換えると、課税対象からの除外)と訳しています。

GloBEルールにおいて、この Substance-based Income Exclusion は、具体的には以下の金額の合計額として計算されます。

payroll carve-out :その国・地域の従業員等の給与等×料率
tangible asset carve-out :その国・地域の有形固定資産の帳簿価額×料率

上記の payroll は、「給与」や「人件費」という意味です。この payroll carve-out に係る料率は10%から始まり、漸減して10年後には5%になります。一方、上記の tangible asset は、「有形資産」または「有形固定資産」という意味です。この tangible asset carve-out に係る料率は8%から始まり、漸減して10年後には5%になります。

いずれにせよ、上記の料率は、労働を含む生産要素に対するルーティンのリターン( routine profit )という位置付けと考えられるため、結果として計算される Substance-based Income Exclusion も同様の性質となります。だからこそ、純GloBE所得がそれを上回る部分が「超過」利潤(利益)になるわけです。