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令和5年度税制改正におけるグローバル最低税率課税制度の導入と外国子会社合算税制の見直しについて

デロイト トーマツ税理士法人 パートナー 山川 博樹

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本年度の税制改正で、表記の「グローバル最低税率課税制度(GloBEルール)の導入と外国子会社合算税制(CFC税制)の見直し」が図られる。2022年12月16日決定の税制改正大綱などに基づき、経緯と概要と若干の考察を行う。

1 GloBEルールとは

BEPS2.0は国際課税の大改革である。2021年10月8日、約140か国のIF(包摂的枠組み)において2つの柱が合意され、その後、G20で承認された。柱1は、企業グループの残余利益を市場国に再配分をする利益Aと、基礎的マーケティング販売活動を定義し最低利益率を設定する利益Bからなる。柱2は、法人税のグローバル最低税率15%で規律するGloBEルールと、関連者間取引の受け手側の取引ベースの税率が9%を下回った場合、その差分を支払い側で源泉徴収するSTTRからなる。利益AとGloBEルールが国際課税の大改革たる所以である。

GloBEルールの中核は親会社の所在地国が優先的にトップアップ課税を行うIIRである。そこでIIR課税が行われない場合のバックストップとしてUTPRが設定される。UTPRは、構成事業体が所在する各国に、有形資産の簿価と従業員数の大...