租税事件の論点からアプローチする実務国際課税 第1回 タックス・ヘイブン対策税制と「租税回避」、「目的論的解釈」、「支配力」、「担税力」(上)
秋元 秀仁
略歴 :大蔵省主税局、国税庁調査査察部調査課(国際/審理担当)、同課税部法人課税課、同審理室、東京国税局統括国税実査官(国際/富裕層担当)、玉川税務署長、東京国税局調査管理課長、国税庁長官官房監督評価官室長、札幌国税局総務部長、高松国税局長などを歴任。現在、税理士。
はじめに
租税判例、裁決事例における争点・論点から実務に与える影響を探り、これを検討・検証することは、課税実務において大変有意義なことと考えます。
本件は、第一審が国側勝訴、その控訴審は逆に国側敗訴となった租税事件です。敗訴した国側の上告がうかがえ、今後明らかとなるであろう最高裁での判断は、当然にその後の課税実務において真に留意すべきものとなるはずです。換言すれば、そこでの判断やその枠組みの射程は軽視できないもので、また、参照すべきものになることが予想されるところです。
一方で、課税実務の場面においては、判例や裁決の結果はそれとして、個別事案における一の判断結果が自身の行う取引や行おうとする取引、さらには具体的租税計画においてどこまで影響が生じ得るものなのか、気になるところです。
本稿を含め、今後本コーナーで取り上げさせていただく事例...