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富裕層の相続の法務と海外の相続税 第6回 タイ、フィリピン、ベトナムの相続税

国際課税研究所 首席研究員 矢内 一好

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1.タイの相続税

(1)タイの概況

アジア地域において相続税のある国は、日本、韓国、フィリピン、台湾、タイ、ベトナム(所得課税)です。タイは廃止という方向とは逆に、2016年2月から相続税と贈与税を新たに導入しました。

外務省作成の日系企業全世界の海外拠点数(2020年)によれば、中国(33,341)、タイ(5,856)、インド(4,948)、ベトナム(2,120)、フィリピン(1,418)となっており、アセアン参加国のうちでは、タイが拠点数では最も多くなっています。タイにおける在留邦人数は81,187人(2020年10月)です。

(2)タイの相続税

相続税の納税義務者は、①タイ国民、②入国管理法により...