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[全文公開] 参考資料 「令和5年度税制改正大綱(抄)」(令和4年12月16日 自由民主党・公明党)

( 109頁)

第一 令和5年度税制改正の基本的考え方等

1. (省略)

2.経済のグローバル化・デジタル化・グリーン化への対応

(1)新たな国際課税ルールへの対応

昨年10月にOECD/G20「BEPS(注)包摂的枠組み」において、経済のデジタル化に伴う課税上の課題への解決策に関する国際的な合意がまとめられた。本国際合意は、市場国への新たな課税権の配分(「第1の柱」)とグローバル・ミニマム課税(「第2の柱」)の2つの柱からなる。わが国は、BEPSプロジェクトの立上げ時から、国際課税改革に関する議論を一貫して主導してきたところであり、本国際合意の実施に向けた取組みを進めることが重要である。来年、わが国がG7議長国を務めることも踏まえ、引き続き、制度の詳細化に向けた国際的な議論に積極的に貢献するとともに、国際合意に則った法制度の整備を進める。

(注)Base Erosion and Profit Shifting:税源浸食と利益移転

「第2の柱」については、法人税の引下げ競争に歯止めをかけるとともに、わが国企業の国際競争力の維持及び向上にもつながるものであり、わが国においても導入を進める。令和5年度税制改正においては、制度の詳細に係る国際的な議論の進展や、諸外国における実施に向けた動向等を踏まえ、所得合算ルール(IIR:Income Inclusion Rule)に係る法制化を行う。その際、対象企業の事務手続きの簡素化に資する措置を導入する。適用開始時期については、諸外国の動向を踏まえることが重要であり、対象企業の準備に要する期間を確保する観点も踏まえ、令和6年4月以後に開始する対象会計年度とする。軽課税所得ルール(UTPR:Undertaxed Profits Rule)と国内ミニマム課税(QDMTT:Qualified Domestic Minimum Top-up Tax)を含め、OECDにおいて来年以降に実施細目が議論される見込みであるものについては、国際的な議論を踏まえ、令和6年度税制改正以降の法制化を検討する。

「第2の柱」の導入における国・地方の対応については、次のとおりとする。

① IIR・UTPRは、外国に所在する法人等が稼得する所得を基に課税する仕組みであり、課税対象と地方公共団体の行政サービスとの応益性が観念できないため、地方税である法人住民税・法人事業税(特別法人事業税を含む。以下同じ。)の課税は行わないこととし、現行の税率を基に法人税による税額と地方法人税による税額が907:93の比率となるよう制度を措置する。

② QDMTTは、内国法人等が稼得する所得を基に課税する仕組みであり、応益性が観念できること等を踏まえ、国・地方の法人課税の税率(法人実効税率29.74%の内訳)の比率を前提とした仕組みとする。簡素な制度とする観点から、QDMTTにおける法人住民税・法人事業税相当分については、地方法人税に含めて国で一括して課税・徴収することとし、地方交付税により地方に配分する。これらを踏まえ、法人税による税額と地方法人税による税額が753:247の比率となるよう制度を措置する。

外国子会社合算税制については、国際的なルールにおいても「第2の柱」と併存するものとされており、「第2の柱」の導入以降も、外国子会社を通じた租税回避を抑制するための措置としてその重要性は変わらない。他方、「第2の柱」の導入により対象企業に追加的な事務負担が生じること等を踏まえ、外国子会社合算税制について可能な範囲で見直しを行うとともに、令和6年度税制改正以降に見込まれる更なる「第2の柱」の法制化を踏まえて、必要な見直しを検討する。

「第1の柱」については、来年前半までの多数国間条約の署名が目標とされており、引き続き国際的な議論に積極的に貢献することが重要である。今後策定される多数国間条約等の規定を基に、わが国が市場国として新たに配分される課税権に係る課税のあり方、地方公共団体に対して課税権が認められることとなる場合の課税のあり方、条約上求められる二重課税除去のあり方等について、国・地方の法人課税制度を念頭に置いて検討する。

国際的な租税回避や脱税への対応については、引き続き、国際的な議論や租税回避の態様等を踏まえ必要な見直しを迅速に行っていく。また、コロナ後において見込まれる国境を越えたビジネスや人の往来の再拡大を踏まえ、非居住者の給与課税のあり方について、今後検討を行っていく。あわせて、国際課税制度が大きな変革を迎える中、国内法制・租税条約の整備及び着実な執行など適時に十全な対応ができるよう、国税当局の体制強化を行うものとする。

(2)プラットフォーム課税

国境を越えた役務の提供に係る消費課税のあり方については、諸外国での制度面の対応や執行上の課題、プラットフォーム運営事業者の役割等を踏まえ、国内外の競争条件の公平性も考慮しつつ、適正な課税を確保するための方策を検討する。

(3)~(5) (省略)

3.~6. (省略)

第二 令和5年度税制改正の具体的内容

一 個人所得課税

1~4 (省略)

5 その他

(国 税)

(1)~(3) (省略)

(4)国外転出をする場合の譲渡所得等の特例の適用がある場合の納税猶予について、次の措置を講ずる。

① 納税猶予の適用を受けようとする者が質権の設定がされていないこと等の要件を満たす非上場株式を担保として提供する場合において、その者が当該非上場株式を担保として提供することを約する書類その他の書類を税務署長に提出するときは、その株券を発行せずにその担保の提供ができることとする。

② 納税猶予の適用を受けようとする者は、その有する質権の設定がされていないこと等の要件を満たす持分会社の社員の持分について、その者が当該持分会社の社員の持分を担保として提供することを約する書類その他の書類を税務署長に提出する場合には、その担保の提供ができることとする。

③ その他所要の措置を講ずる。

(注)上記について、贈与等により非居住者に資産が移転した場合の譲渡所得等の特例の適用がある場合の納税猶予についても同様の措置を講ずる。

(省略)

二 資産課税 (省略)

三 法人課税 (省略)

四 消費課税

1~4 (省略)

5 その他

(国 税)

(1) (省略)

(2)外国人旅行者向け消費税免税制度(輸出物品販売場制度)について、免税購入された物品の税務署長の承認を受けない譲渡又は譲受けがされた場合には、当該物品を譲り受けた者に対して譲り渡した者と連帯してその免除された消費税を納付する義務を課すこととするほか、所要の措置を講ずる。

(注1)上記の改正は、令和5年5月1日以後に行われる課税資産の譲渡等に係る税務署長の承認を受けない譲渡又は譲受けについて適用する。

(注2)上記の改正に伴い、輸出酒類販売場制度について所要の措置を講ずる。

(3)~(10) (省略)

(11)税関事務管理人制度の見直しに伴い、税関長が、輸入申告に係る納税管理人及び税関事務管理人を定めなければならない者について特定税関事務管理人を指定したときは、当該特定税関事務管理人は、保税地域からの引取りに係る内国消費税に関する一定の事項を処理することとする等の所要の措置を講ずる。

(注)上記の改正は、令和5年10月1日から施行する。

(12)内国消費税について、課税貨物を保税地域から引き取る特例輸入者が帳簿への記載を省略する場合に保存することとされている輸入許可書等の範囲に、これらの書類に係る電磁的記録を含めることとする。

(13)~(15) (省略)

五 国際課税

1 グローバル・ミニマム課税への対応

(国 税)

(1)各対象会計年度の国際最低課税額に対する法人税(国税)(仮称)の創設

① 納税義務者

内国法人は、各対象会計年度の国際最低課税額に対する法人税(仮称)を納める義務がある。ただし、公共法人については、その義務がない。

② 課税の範囲

特定多国籍企業グループ等に属する内国法人に対して、各対象会計年度の国際最低課税額について、各対象会計年度の国際最低課税額に対する法人税(仮称)を課する。

(注1)上記の「特定多国籍企業グループ等」とは、企業グループ等(次に掲げるものをいい、多国籍企業グループ等に該当するものに限る。)のうち、各対象会計年度の直前の4対象会計年度のうち2以上の対象会計年度の総収入金額が7億5,000万ユーロ相当額以上であるものをいう。

イ 連結財務諸表等に財産及び損益の状況が連結して記載される会社等及び連結の範囲から除外される一定の会社等に係る企業集団のうち、最終親会社(他の会社等の支配持分を直接又は間接に有する会社等(他の会社等がその支配持分を直接又は間接に有しないものに限る。)をいう。)に係るもの

ロ 会社等(上記イに掲げる企業集団に属する会社等を除く。)のうち、その会社等の恒久的施設等の所在地国がその会社等の所在地国以外の国又は地域であるもの

(注2)上記(注1)の「多国籍企業グループ等」とは、次に掲げる企業グループ等をいう。

イ 上記(注1)イに掲げる企業グループ等に属する会社等の所在地国(その会社等の恒久的施設等がある場合には、その恒久的施設等の所在地国を含む。)が2以上ある場合のその企業グループ等その他これに準ずるもの

ロ 上記(注1)ロに掲げる企業グループ等

③ 税額の計算

各対象会計年度の国際最低課税額に対する法人税(仮称)の額は、各対象会計年度の国際最低課税額(課税標準)に100分の90.7の税率を乗じて計算した金額とする。

④ 申告及び納付等

イ 特定多国籍企業グループ等に属する内国法人の各対象会計年度の国際最低課税額に対する法人税(仮称)の申告及び納付は、各対象会計年度終了の日の翌日から1年3月(一定の場合には、1年6月)以内に行うものとする。ただし、当該対象会計年度の国際最低課税額(課税標準)がない場合は、当該申告を要しない。

ロ 電子申告の特例等については、各事業年度の所得に対する法人税と同様とし、その他所要の措置を講ずる。

⑤ その他

質問検査、罰則等については、各事業年度の所得に対する法人税と同様とし、その他所要の措置を講ずる。

(2)特定基準法人税額に対する地方法人税(国税)(仮称)の創設

① 課税の対象

特定多国籍企業グループ等に属する内国法人の各課税対象会計年度の特定基準法人税額には、特定基準法人税額に対する地方法人税(仮称)を課する。

② 税額の計算

イ 特定基準法人税額に対する地方法人税(仮称)の額は、各課税対象会計年度の特定基準法人税額(課税標準)に907分の93の税率を乗じて計算した金額とする。

ロ 特定基準法人税額は、各対象会計年度の国際最低課税額に対する法人税(仮称)の額とする。ただし、附帯税の額を除く。

③ 申告及び納付等

イ 特定基準法人税額に対する地方法人税(仮称)の申告及び納付は、各課税対象会計年度終了の日の翌日から1年3月(一定の場合には、1年6月)以内に行うものとする。

ロ 電子申告の特例等については、基準法人税額に対する地方法人税と同様とし、その他所要の措置を講ずる。

④ その他

質問検査、罰則等については、基準法人税額に対する地方法人税と同様とし、その他所要の措置を講ずる。

(3)情報申告制度の創設

① 特定多国籍企業グループ等に属する構成会社等である内国法人は、特定多国籍企業グループ等に属する構成会社等の名称、当該構成会社等の所在地国ごとの国別実効税率、当該特定多国籍企業グループ等のグループ国際最低課税額その他必要な事項等(特定多国籍企業グループ等報告事項等)を、各対象会計年度終了の日の翌日から1年3月(一定の場合には、1年6月)以内に、電子情報処理組織を使用する方法(e-Tax)により、納税地の所轄税務署長に提供しなければならない。

② 特定多国籍企業グループ等報告事項等の不提供及び虚偽報告に対する罰則を設ける。

(4)上記の改正に伴い、所要の措置を講ずる。

(5)適用関係

① 各対象会計年度の国際最低課税額に対する法人税(仮称)は、内国法人の令和6年4月1日以後に開始する対象会計年度から適用する。

② 特定基準法人税額に対する地方法人税(仮称)は、内国法人の令和6年4月1日以後に開始する課税対象会計年度から適用する。

③ 上記(3)及び(4)の改正は、内国法人の令和6年4月1日以後に開始する対象会計年度の国際最低課税額に対する法人税(仮称)について適用する。

(以上につき付記参照)

(地方税)

法人住民税の計算の基礎となる法人税額に各対象会計年度の国際最低課税額に対する法人税(仮称)の額を含まないこととするほか、所要の措置を講ずる。

2 外国子会社合算税制等の見直し

(国 税)

内国法人の外国関係会社に係る所得の課税の特例(いわゆる「外国子会社合算税制」)等について、次の見直しを行う。

(1)特定外国関係会社の各事業年度の租税負担割合が27%以上(現行:30%以上)である場合には、会社単位の合算課税の適用を免除する。

(2)申告書に添付することとされている外国関係会社に関する書類の範囲から次に掲げる部分対象外国関係会社に関する書類を除外するとともに、その書類を保存するものとする。

① 部分適用対象金額がない部分対象外国関係会社

② 部分適用対象金額が2,000万円以下であること等の要件を満たすことにより本制度が適用されない部分対象外国関係会社

(3)申告書に添付することとされている外国関係会社に関する書類(外国関係会社の株式等を直接又は間接に有する者(株主等)に関する事項を記載するものに限る。)の記載事項について、その書類に代えてその外国関係会社と株主等との関係を系統的に示した図にその記載事項の全部又は一部を記載することができることとする。

(4)上記の見直しのほか、内国法人に係る外国子会社合算税制について所要の措置を講ずる。

(5)居住者に係る外国子会社合算税制、特殊関係株主等である内国法人に係る外国関係法人に係る所得の課税の特例等の関連制度につき、上記の見直しを踏まえた所要の措置を講ずる。

(注)上記の改正は、内国法人の令和6年4月1日以後に開始する事業年度について適用する。

(地方税)

法人住民税及び法人事業税について、内国法人の外国関係会社に係る所得の課税の特例(いわゆる「外国子会社合算税制」)等の見直しに関する国税の取扱いに準じて所要の措置を講ずる。

3 非居住者のカジノ所得の非課税制度の創設

(国 税)

非居住者(次に掲げる者のいずれかに該当するものを除く。)の令和9年1月1日から令和13年12月31日までの間のカジノ所得については、所得税を課さない。

(1)特定複合観光施設区域整備法の規定により入場料等を賦課するものとされている者

(2)特定複合観光施設区域整備法の規定によりカジノ行為を行ってはならないこととされている者

(注)上記の「カジノ所得」とは、カジノ行為(特定複合観光施設区域整備法の規定によるカジノ事業の免許に係るカジノ行為区画で行うその免許に係る種類及び方法のカジノ行為(同法の規定による設置運営事業の停止の命令等に違反して行われたものを除く。)に限る。)の勝金に係る一時所得をいう。

4 その他

(国 税)

(1)特定外国法人が特定金融機関等との間で行う債券現先取引に係る利子等の非課税措置の適用期限を3年延長する。

(2)クロスボーダー取引に係る利子等の課税の特例等について、次の措置を講ずる。

① 振替国債等の利子の課税の特例等について、電子情報処理組織を使用する方法(e-Tax)により税務署長に対して提出する次に掲げる書類のファイル形式を、XML形式又はCSV形式とする。

イ 非課税適用申告書等

ロ 特例書類

(注)上記の改正は、令和6年7月1日以後に提出する書類について適用する。

② 上場株式等の配当等に係る租税条約等の適用手続について、その配当等の支払の取扱者のその支払を受ける者等に関する事項の光ディスク等による税務署長に対する提供に代えて、電子情報処理組織を使用する方法(e-Tax)により提供することができることとする。

(注1)上記の電子情報処理組織を使用する方法(e-Tax)により提供する場合におけるその提供に関するファイル形式は、CSV形式とする。

(注2)上記の改正は、令和6年7月1日以後に提供する事項について適用する。

(地方税)

個人住民税、法人住民税及び事業税について、国税における諸制度の取扱いに準じて所要の措置を講ずる。

六 納税環境整備 (省略)

七 関税

1~2 (省略)

3 急増する輸入貨物への対応

(1)輸入申告項目に「通販貨物の該否」(ECプラットフォームを利用して販売した通販貨物の場合は「ECプラットフォームの名称」を含む。)、「国内配送先」及び「輸入者の住所及び氏名」を追加する。

(2)税関事務管理人制度について、次の事項を可能とする等の規定の整備を行う。

① 税関事務管理人の届出がない場合、税関長が非居住者に対し、税関事務管理人に処理させる必要があると認められる事項(以下「特定事項」という。)を明示して、期限を指定して税関事務管理人の届出を求めること。

② 非居住者が期限までに税関事務管理人を届け出ない場合に、税関長が、国内居住者で特定事項の処理につき便宜を有する者のうち一定の国内関連者を、特定事項を処理させる税関事務管理人として指定すること。

(注)上記の「一定の国内関連者」とは、非居住者と資本関係がある等特殊な関係を有する者、関税の税額等の計算の基礎となるべき事実について非居住者との契約により密接な関係を有する者、非居住者が利用するECプラットフォームを運営する事業者等をいう。

(3)税関事務管理人の届出項目に「届出者(非居住者)の事業」、「届出者(非居住者)と税関事務管理人との関係」等を追加するとともに、届出を行う非居住者は税関事務管理人との委任関係を証する書類を提出しなければならないこととする。

4~6 (省略)

第三 検討事項 (省略)

【付記】各対象会計年度の国際最低課税額に対する法人税(仮称)の創設等

一 各対象会計年度の国際最低課税額に対する法人税(仮称)の基本的な仕組み

1 納税義務者

内国法人は、各対象会計年度の国際最低課税額に対する法人税(仮称)を納める義務がある。ただし、公共法人については、その義務がない。

2 課税の範囲

特定多国籍企業グループ等に属する内国法人に対して、各対象会計年度の国際最低課税額について、各対象会計年度の国際最低課税額に対する法人税(仮称)を課する。

3 特定多国籍企業グループ等の範囲

特定多国籍企業グループ等は、企業グループ等(次に掲げるものをいい、多国籍企業グループ等に該当するものに限る。)のうち、各対象会計年度の直前の4対象会計年度のうち2以上の対象会計年度の総収入金額が7億5,000万ユーロ相当額以上であるものとする。

(1)連結財務諸表等に財産及び損益の状況が連結して記載される会社等及び連結の範囲から除外される一定の会社等に係る企業集団のうち、最終親会社(他の会社等の支配持分を直接又は間接に有する会社等(他の会社等がその支配持分を直接又は間接に有しないものに限る。)をいう。)に係るもの

(2)会社等(上記(1)に掲げる企業集団に属する会社等を除く。)のうち、その会社等の恒久的施設等の所在地国がその会社等の所在地国以外の国又は地域であるもの

(注1)上記の「多国籍企業グループ等」とは、次に掲げる企業グループ等をいう。

① 上記(1)に掲げる企業グループ等に属する会社等の所在地国(その会社等の恒久的施設等がある場合には、その恒久的施設等の所在地国を含む。)が2以上ある場合のその企業グループ等その他これに準ずるもの

② 上記(2)に掲げる企業グループ等

(注2)上記の「恒久的施設等」とは、会社等の所在地国以外の国又は地域(以下「他方の国」という。)においてその会社等の事業が行われる場合における次に掲げる場所等をいう。

① 租税条約等がある場合において、その租税条約等に基づいて当該他方の国における恒久的施設又はこれに相当するものとして取り扱われる事業が行われる場所等(その租税条約等(その事業から生ずる所得の範囲を定める租税条約等であって、OECDモデル租税条約等において認められる方法によりその範囲を定めるものに限る。)において当該他方の国がその恒久的施設又はこれに相当するものを通じて行われる事業から生ずる所得に対して租税を課することとされるものに限る。)

② 租税条約等がない場合において、当該他方の国が当該他方の国において行われる事業から生ずる所得に対して租税を課するときにおけるその事業が行われる場所等

③ 当該他方の国に法人の所得に対して課される租税が存在しない場合において、OECDモデル租税条約第5条の恒久的施設に該当するその事業が行われる場所等(その事業から生ずる所得の全部又は一部がOECDモデル租税条約第7条の恒久的施設帰属所得に該当するものに限る。)

④ 当該他方の国においてその会社等の事業が行われる場所等が①から③までに掲げる場所等に該当しない場合において、その会社等の所在地国がその事業から生ずる所得に対して租税を課さないときにおける当該他方の国におけるその事業が行われる場所等

4 所在地国の判定

所在地国は、次に掲げるものの区分に応じそれぞれ次に定める国又は地域とする。

(1)会社等(導管会社等を除く。) 次に掲げる会社等の区分に応じそれぞれ次に定める国又は地域

① 国又は地域の法人税又は法人税に相当する税に関する法令において課税上の居住者とされる会社等 その国又は地域

② ①に掲げる会社等以外の会社等 その会社等が設立された国又は地域

(2)導管会社等(最終親会社等(上記3(1)の最終親会社及び上記3(2)に掲げる会社等をいう。以下同じ。)であるもの又は国若しくは地域の租税に関する法令において国際最低課税額に対する法人税に相当するものを課することとされるものに限る。) その設立された国又は地域

(3)恒久的施設等 次に掲げる場合の区分に応じそれぞれ次に定める国又は地域

① 上記3(注2)①に掲げる恒久的施設等に該当する場合 上記3(注2)①の他方の国

② 上記3(注2)②に掲げる恒久的施設等に該当する場合 上記3(注2)②の他方の国

③ 上記3(注2)③に掲げる恒久的施設等に該当する場合 上記3(注2)③の他方の国

5 構成会社等の範囲

構成会社等は、次に掲げるものとする。

(1)上記3(1)に掲げる企業グループ等に属する会社等(政府関係機関、国際機関その他の一定の会社等を除く。)

(2)(1)に掲げる会社等の恒久的施設等

(3)上記3(2)に掲げる会社等(政府関係機関、国際機関その他の一定の会社等を除く。)

(4)(3)に掲げる会社等の恒久的施設等

6 対象会計年度

対象会計年度は、多国籍企業グループ等の最終親会社等の連結財務諸表等の作成に係る期間とする。

7 税額の計算

各対象会計年度の国際最低課税額に対する法人税(仮称)の額は、各対象会計年度の国際最低課税額(課税標準)に100分の90.7の税率を乗じて計算した金額とする。

8 申告及び納付等

(1)特定多国籍企業グループ等に属する内国法人の各対象会計年度の国際最低課税額に対する法人税(仮称)の申告及び納付は、各対象会計年度終了の日の翌日から1年3月(一定の場合には、1年6月)以内に行うものとする。ただし、当該対象会計年度の国際最低課税額(課税標準)がない場合は、当該申告を要しない。

(2)電子申告の特例等については、各事業年度の所得に対する法人税と同様とし、その他所要の措置を講ずる。

二 国際最低課税額(課税標準)

国際最低課税額は、構成会社等である内国法人が属する特定多国籍企業グループ等のグループ国際最低課税額のうち、その特定多国籍企業グループ等に属する他の構成会社等(わが国を所在地国とするものを除く。)又はその特定多国籍企業グループ等に係る共同支配会社等(わが国を所在地国とするものを除く。)に配賦される会社等別国際最低課税額に対して内国法人の所有持分等を勘案して計算した帰属割合を乗じて計算した金額の合計額とする(下記1から5までを参照)。

(注)上記の「共同支配会社等」とは、次に掲げるものをいう。

① 最終親会社等の連結財務諸表等において持分法が適用される会社等で、その最終親会社等が直接又は間接に有する所有持分の割合が50%以上であるもの(特定多国籍企業グループ等の最終親会社等その他の一定の会社等を除く。)

② ①に掲げる会社等の連結財務諸表等にその財産及び損益の状況が連結して記載される会社等(政府関係機関、国際機関その他の一定の会社等を除く。)

③ ①又は②に掲げる会社等の恒久的施設等

1 グループ国際最低課税額の計算

グループ国際最低課税額は、「構成会社等に係るグループ国際最低課税額」と「共同支配会社等に係るグループ国際最低課税額」とを合計した金額とする。

(1)構成会社等に係るグループ国際最低課税額

構成会社等に係るグループ国際最低課税額は、次に掲げる場合の区分に応じそれぞれ次に定める金額の合計額とする。

① 構成会社等の所在地国における国別実効税率が15%(基準税率)を下回り、かつ、その所在地国に係る国別グループ純所得の金額(その所在地国を所在地国とする全ての構成会社等に係る個別計算所得金額(個別計算所得等の金額が零を超える場合におけるその零を超える額をいう。以下同じ。)の合計額からその所在地国を所在地国とする全ての構成会社等の個別計算損失金額(個別計算所得等の金額が零又は零を下回る場合のその零又はその零を下回る額をいう。以下同じ。)の合計額を控除した残額をいう。以下同じ。)がある場合 イからハまでに掲げる金額の合計額からニに掲げる金額を控除した残額

(注)上記の「国別実効税率」とは、イに掲げる金額がロに掲げる金額のうちに占める割合をいう。

イ 国別調整後対象租税額(その構成会社等の所在地国を所在地国とする全ての構成会社等の調整後対象租税額の合計額をいう。以下同じ。)

ロ 国別グループ純所得の金額

イ その所在地国に係る当期国別国際最低課税額

(イ)に掲げる金額から(ロ)に掲げる金額を控除した残額に、基準税率からその所在地国における国別実効税率を控除した割合を乗じて計算した金額をいう。

(イ)国別グループ純所得の金額

(ロ)次に掲げる金額の合計額(実質ベースの所得除外額)

a その所在地国を所在地国とする全ての構成会社等に係る給与その他の一定の費用の額の5%に相当する金額

(注)上記の「5%」の割合について、次に掲げる対象会計年度の区分に応じそれぞれ次に定める割合とする経過措置を設ける。

(a)令和6年4月1日から同年12月31日までの間に開始する対象会計年度 9.8%

(b)令和7年中に開始する対象会計年度 9.6%

(c)令和8年中に開始する対象会計年度 9.4%

(d)令和9年中に開始する対象会計年度 9.2%

(e)令和10年中に開始する対象会計年度 9.0%

(f)令和11年中に開始する対象会計年度 8.2%

(g)令和12年中に開始する対象会計年度 7.4%

(h)令和13年中に開始する対象会計年度 6.6%

(i)令和14年中に開始する対象会計年度 5.8%

b その所在地国を所在地国とする全ての構成会社等の有形固定資産その他の一定の資産の額の5%に相当する金額

(注)上記の「5%」の割合について、次に掲げる対象会計年度の区分に応じそれぞれ次に定める割合とする経過措置を設ける。

(a)令和6年4月1日から同年12月31日までの間に開始する対象会計年度 7.8%

(b)令和7年中に開始する対象会計年度 7.6%

(c)令和8年中に開始する対象会計年度 7.4%

(d)令和9年中に開始する対象会計年度 7.2%

(e)令和10年中に開始する対象会計年度 7.0%

(f)令和11年中に開始する対象会計年度 6.6%

(g)令和12年中に開始する対象会計年度 6.2%

(h)令和13年中に開始する対象会計年度 5.8%

(i)令和14年中に開始する対象会計年度 5.4%

ロ その所在地国に係る再計算国別国際最低課税額

その対象会計年度前に開始した各対象会計年度(ロにおいて「過去対象会計年度」という。)における当期国別国際最低課税額につき再計算を行うことが求められる場合において、当初の当期国別国際最低課税額がその過去対象会計年度終了の日後に生じた一定の事情を勘案して再計算を行った当期国別国際最低課税額に満たないときのその満たない金額をいう。

ハ その所在地国に係る未分配所得国際最低課税額

課税分配法を適用した構成会社等(各種投資会社等に該当するものに限る。)について、個別計算所得金額のうち他の構成会社等に分配されなかった部分の金額に基準税率を乗じて計算した金額をいう。

(注1)上記の「課税分配法」とは、国別実効税率の計算において、特定多国籍企業グループ等に属する各種投資会社等の所得について、その所得が分配されたときに、その各種投資会社等の持分を有する構成会社等の所得として計算する方法をいう。

(注2)上記の「各種投資会社等」とは、次に掲げるものをいう。

(イ)投資会社等

(ロ)不動産投資会社等

(ハ)投資会社等又は不動産投資会社等が直接又は間接に有する一定の会社等

(ニ)保険投資会社等

ニ その所在地国に係る自国内国際最低課税額に係る税(わが国以外の国又は地域の租税に関する法令において、その国又は地域を所在地国とする特定多国籍企業グループ等に属する構成会社等に対して課される税(その国又は地域における国別実効税率に相当する割合が基準税率に満たない場合のその満たない部分の割合その他の事情を勘案して計算される金額を課税標準とするものに限る。)又はこれに相当する税をいう。以下同じ。)の額

② 構成会社等の所在地国における国別実効税率が基準税率以上であり、かつ、その所在地国に係る国別グループ純所得の金額がある場合 イ及びロに掲げる金額の合計額からハに掲げる金額を控除した残額

イ その所在地国に係る再計算国別国際最低課税額

ロ その所在地国に係る未分配所得国際最低課税額

ハ その所在地国に係る自国内国際最低課税額に係る税の額

③ 構成会社等の所在地国に係る国別グループ純所得の金額がない場合 イ及びロに掲げる金額の合計額からニに掲げる金額を控除した残額(国別調整後対象租税額が零を下回る場合のその下回る額が特定国別調整後対象租税額を超える場合にあっては、イからハまでに掲げる金額の合計額からニに掲げる金額を控除した残額)

イ その所在地国に係る再計算国別国際最低課税額

ロ その所在地国に係る未分配所得国際最低課税額

ハ 国別調整後対象租税額が零を下回る場合のその下回る額からその所在地国に係る特定国別調整後対象租税額((イ)に掲げる金額から(ロ)に掲げる金額を控除した残額に基準税率を乗じて計算した金額をいう。)を控除した残額

(イ)その所在地国を所在地国とする全ての構成会社等の個別計算損失金額の合計額

(ロ)その所在地国を所在地国とする全ての構成会社等の個別計算所得金額の合計額

ニ その所在地国に係る自国内国際最低課税額に係る税の額

(注1)その所在地国に特定構成会社等(次に掲げる構成会社等をいう。(注1)において同じ。)とそれ以外の構成会社等がある場合における上記(1)の金額は、それぞれの特定構成会社等(その所在地国に特定構成会社等(②に掲げるものに限る。)のみで構成される企業集団がある場合にはその企業集団に属する他の特定構成会社等(②に掲げるものに限る。)を含むものとし、その所在地国に特定構成会社等(③に掲げるものに限る。)以外の他の特定構成会社等(③に掲げるものに限る。)がある場合には当該他の特定構成会社等を含む。)ごとに計算する。

① 被少数保有構成会社等(②及び③に掲げるものを除く。)

② 被少数保有親構成会社等(③に掲げるものを除く。)又は被少数保有子構成会社等(③に掲げるものを除く。)

③ 各種投資会社等

(注2)上記(注1)①の「被少数保有構成会社等」とは、最終親会社等が直接又は間接に有する所有持分の割合が30%以下である構成会社等をいう。

(注3)上記(注1)②の「被少数保有親構成会社等」とは、他の被少数保有構成会社等の支配持分を直接又は間接に有する被少数保有構成会社等(他の被少数保有構成会社等がその支配持分を直接又は間接に有しないものに限る。)をいい、「被少数保有子構成会社等」とは、被少数保有親構成会社等がその支配持分を直接又は間接に有する被少数保有構成会社等をいう。

(注4)構成会社等が無国籍構成会社等(構成会社等のうち所在地国がないものをいう。)である場合における上記(1)の金額は、その無国籍構成会社等ごとに計算する点や実質ベースの所得除外額の控除が認められない点等を除き、基本的に同様の計算とする。

(2)共同支配会社等に係るグループ国際最低課税額

特定多国籍企業グループ等に係る共同支配会社等に係る「共同支配会社等に係るグループ国際最低課税額」の計算については、基本的に「構成会社等に係るグループ国際最低課税額」の計算と同様とする。

2 会社等別国際最低課税額の計算

会社等別国際最低課税額は、「グループ国際最低課税額」のうち、特定多国籍企業グループ等に属する構成会社等(わが国を所在地国とするものを除く。)の所在地国に係る上記1(1)①から③までに定める金額に、その構成会社等の個別計算所得金額がその所在地国を所在地国とする全ての構成会社等の個別計算所得金額の合計額のうちに占める割合等を乗じて計算した金額とする。

(注)共同支配会社等(わが国を所在地国とするものを除く。)に係る会社等別国際最低課税額の計算についても、基本的に構成会社等に係る会社等別国際最低課税額の計算と同様とする。

3 国際最低課税額の計算

国際最低課税額は、内国法人が所有持分を有する次に掲げる構成会社等(恒久的施設等を除く。3において同じ。)の区分に応じそれぞれ次に定めるところにより計算した金額を合計した金額とする。

(1)その内国法人(その構成会社等の最終親会社等、中間親会社等(その構成会社等に係る各対象会計年度の国際最低課税額に対する法人税(仮称)又は外国におけるこれに相当する税を課することとされる最終親会社等がある場合における中間親会社等その他の一定の要件を満たす中間親会社等を除く。(2)において同じ。)又は被部分保有親会社等(その構成会社等に係る各対象会計年度の国際最低課税額に対する法人税(仮称)又は外国におけるこれに相当する税を課することとされる他の被部分保有親会社等がその被部分保有親会社等の持分の全部を直接又は間接に有する場合におけるその被部分保有親会社等を除く。(2)において同じ。)に限るものとし、その所在地国がわが国でないものを除く。3において同じ。)がその所有持分を直接又は間接に有する構成会社等((2)に掲げるものを除く。) その構成会社等のその対象会計年度に係る会社等別国際最低課税額に帰属割合(その内国法人の所有持分等を勘案して計算した割合をいう。(2)において同じ。)を乗じて計算した金額

(2)その内国法人がその所有持分を他の構成会社等を通じて間接に有する構成会社等(当該他の構成会社等(その構成会社等の中間親会社等又は被部分保有親会社等に該当するものに限る。)がその構成会社等のその対象会計年度に係る国際最低課税額等(その対象会計年度に係る国際最低課税額及び外国におけるこれに相当するものをいう。)を有する場合におけるその構成会社等に限る。) その構成会社等のその対象会計年度に係る会社等別国際最低課税額に帰属割合を乗じて計算した金額からその計算した金額のうち当該他の構成会社等に帰せられる部分の金額として計算した金額を控除した残額

(注1)上記の「被部分保有親会社等」とは、次に掲げる要件の全てを満たす一定の構成会社等をいう。

① 特定多国籍企業グループ等に属する他の構成会社等又はその特定多国籍企業グループ等に係る共同支配会社等に対する所有持分を直接又は間接に有すること。

② その特定多国籍企業グループ等に属する他の構成会社等以外の者が直接又は間接に有するその構成会社等に対する一定の所有持分の割合が20%を超えること。

(注2)内国法人が所有持分を有する会社等の恒久的施設等に係る国際最低課税額の計算については、会社等がその会社等の恒久的施設等に対して有する所有持分の割合を100%として計算する点を除き、基本的に同様の計算とする。

(注3)内国法人が所有持分を有する共同支配会社等に係る国際最低課税額の計算については、基本的に内国法人が所有持分を有する構成会社等に係る国際最低課税額の計算と同様とする。

4 個別計算所得等の金額の計算

個別計算所得等の金額は、当期純損益金額(最終親会社等の連結財務諸表等の作成の基礎となる構成会社等の純損益をいう。以下同じ。)につき、次に掲げる調整等を行って計算した金額とする。

(1)構成会社等の恒久的施設等がある場合において、その恒久的施設等に係る個別財務諸表があるときは、その個別財務諸表に基づいて、当期純損益金額のうち恒久的施設等に帰せられる金額を計算する。また、その恒久的施設等に係る個別財務諸表がない場合は、その恒久的施設等が独立した会社等であるものとして、当期純損益金額のうち恒久的施設等に帰せられる金額を計算する。

(2)当期純損益金額のうちに含まれる次に掲げる金額等を除外する。

① 構成会社等が1年以上保有している所有持分又は一定の保有割合を有する所有持分に係る受取配当等の金額

② 国際海運所得等の金額

(注)共同支配会社等に係る個別計算所得等の金額の計算については、基本的に構成会社等に係る個別計算所得等の金額の計算と同様とする。

5 調整後対象租税額の計算

調整後対象租税額は、国別実効税率を計算するための基準とすべき税の額として構成会社等又は共同支配会社等の当期純損益金額に係る対象租税の額及び税効果会計の適用により計上される対象租税の調整額につき、次に掲げる調整等を行って計算した金額とする。

(1)個別計算所得等の金額の計算上、恒久的施設等に帰せられる当期純損益金額がある場合には、その当期純損益金額に対応する対象租税の額についても恒久的施設等に帰せられる金額を計算する。

(2)外国子会社合算税制又は外国におけるこれに相当する税制により構成会社等又は共同支配会社等の所得相当額に対して課された税額について、一定の方法によりその構成会社等又は共同支配会社等に配分を行う。

(注)上記の「対象租税」とは、構成会社等又は共同支配会社等の所得に対する法人税その他の一定の税をいう。

三 その他

1 適用免除基準

特定多国籍企業グループ等に属する構成会社等(各種投資会社等を除く。1において同じ。)が各対象会計年度において次に掲げる要件の全てを満たす場合には、その構成会社等の所在地国における当期国別国際最低課税額は、零とする。

(1)その構成会社等の所在地国におけるその対象会計年度及びその対象会計年度の直前の2対象会計年度に係るその特定多国籍企業グループ等の収入金額の平均額として計算した金額が1,000万ユーロ相当額に満たないこと。

(2)その構成会社等の所在地国におけるその対象会計年度及びその対象会計年度の直前の2対象会計年度に係るその特定多国籍企業グループ等の利益又は損失の額の平均額として計算した金額が100万ユーロ相当額に満たないこと。

(注)共同支配会社等に係る適用免除基準についても、基本的に構成会社等に係る適用免除基準と同様とする。

 一定の国別報告事項における記載事項等を用いた経過的な適用免除基準を措置するほか、所要の措置を講ずる。

 各対象会計年度の国際最低課税額に対する法人税(仮称)は、青色申告制度の対象外とする。ただし、更正の理由付記の対象とし、推計課税の対象外とする。

また、質問検査、罰則等については、各事業年度の所得に対する法人税と同様とし、その他所要の措置を講ずる。

四 特定基準法人税額に対する地方法人税(国税)(仮称)の創設

1 課税の対象

特定多国籍企業グループ等に属する内国法人の各課税対象会計年度の特定基準法人税額には、特定基準法人税額に対する地方法人税(仮称)を課する。

2 税額の計算

(1)特定基準法人税額に対する地方法人税(仮称)の額は、各課税対象会計年度の特定基準法人税額(課税標準)に907分の93の税率を乗じて計算した金額とする。

(2)特定基準法人税額は、各対象会計年度の国際最低課税額に対する法人税(仮称)の額とする。ただし、附帯税の額を除く。

3 申告及び納付等

(1)特定基準法人税額に対する地方法人税(仮称)の申告及び納付は、各課税対象会計年度終了の日の翌日から1年3月(一定の場合には、1年6月)以内に行うものとする。

(2)電子申告の特例等については、基準法人税額に対する地方法人税と同様とし、その他所要の措置を講ずる。

4 その他

質問検査、罰則等については、基準法人税額に対する地方法人税と同様とし、その他所要の措置を講ずる。

五 情報申告制度の創設

1 概要

特定多国籍企業グループ等に属する構成会社等である内国法人は、特定多国籍企業グループ等に属する構成会社等の名称、その構成会社等の所在地国ごとの国別実効税率、その特定多国籍企業グループ等のグループ国際最低課税額その他必要な事項及び上記三1の適用を受けようとする旨等(特定多国籍企業グループ等報告事項等)を、各対象会計年度終了の日の翌日から1年3月(一定の場合には、1年6月)以内に、電子情報処理組織を使用する方法(e-Tax)により、納税地の所轄税務署長に提供しなければならない。

(注1)特定多国籍企業グループ等報告事項等の提供は、英語により行うものとする。

(注2)特定多国籍企業グループ等報告事項等を提供しなければならないこととされる内国法人が複数ある場合には、これらの内国法人を代表する1社が特定多国籍企業グループ等報告事項等を提供すれば足りることとする。

2 提供義務の免除

特定多国籍企業グループ等の最終親会社等(指定提供会社等を指定した場合には、指定提供会社等。2において同じ。)の所在地国の税務当局がその特定多国籍企業グループ等に係る特定多国籍企業グループ等報告事項等の提供をわが国に対して行うことができると認められるときは、その特定多国籍企業グループ等報告事項等の提供義務者である内国法人の提供義務を免除する。

ただし、特定多国籍企業グループ等報告事項等の提供義務が免除される内国法人は、その特定多国籍企業グループ等の最終親会社等に関する情報(最終親会社等届出事項)を、各対象会計年度終了の日の翌日から1年3月(一定の場合には、1年6月)以内に、電子情報処理組織を使用する方法(e-Tax)により、納税地の所轄税務署長に提供しなければならない。

(注1)上記の「指定提供会社等」とは、特定多国籍企業グループ等報告事項等を提供する者として最終親会社等が指定した構成会社等をいう。

(注2)最終親会社等届出事項を提供しなければならないこととされる内国法人が複数ある場合には、これらの内国法人を代表する1社が最終親会社等届出事項を提供すれば足りることとする。

3 その他

特定多国籍企業グループ等報告事項等の不提供及び虚偽報告に対する罰則を設ける。

六 上記の改正に伴い、所要の措置を講ずる。

七 適用関係

 各対象会計年度の国際最低課税額に対する法人税(仮称)は、内国法人の令和6年4月1日以後に開始する対象会計年度から適用する。

 特定基準法人税額に対する地方法人税(仮称)は、内国法人の令和6年4月1日以後に開始する課税対象会計年度から適用する。

 上記五及び六の改正は、内国法人の令和6年4月1日以後に開始する対象会計年度の国際最低課税額に対する法人税(仮称)について適用する。