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移転価格税制についての素朴な疑問⑰ 企業グループ内役務提供の対価はどう決めれば良いか(1)

外国法共同事業 ジョーンズ・デイ法律事務所 弁護士 井上 康一

( 56頁)

Ⅰ はじめに

1 問題の所在

2 検討対象

Ⅱ 移転価格事務運営指針の変遷

1 平成13(2001)年制定時

~二つの算定方法~

2 平成20(2008)年改正

~三つの算定方法~

3 平成30(2018)年改正

~四つの算定方法~

4 まとめ

Ⅲ 移転価格事務運営指針3--11の整理

1 三類型の対比

2 主な特徴

Ⅳ 納税者の取扱いと税務当局の対応

1 問題の所在

2 場合分けによる検討

3 まとめ

Ⅴ まとめ

1 本稿のまとめ

2 外国子会社側の問題

3 次回のテーマ

Ⅰ はじめに

1 問題の所在

(1)二つの問題

多国籍企業グループのメンバー間で、様々な役務の提供が行われる事例は数多くある。このような企業グループ内の役務提供については、移転価格税制上、以下の二つの問題がある

一つは、実際に企業グループ内で役務提供が行われたといえるかどうかの認定の問題である。もう一つは、企業グループ内における役務提供が認定された場合に、独立企業間価格としての対価をどのように定めればよいかという問題である。

以下、日系の多国籍企業グループにおいて、内国法人が外国子会社に対して行う役務提供を念頭に置いて説明する。

(2)役務提供の認定

前者の問題について...