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BEPS2.0の実施により日本企業が直面する新たな世界 第5回(最終回) BEPS2.0とサステナビリティの観点からの税情報開示

EY税理士法人 ディレクター 大堀 秀樹

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1.はじめに ~BEPS2.0を超えて~

新型コロナウイルス感染の継続、カーボンニュートラル、並びにデジタルな技術革新による社会の大変革の中で、企業は地球社会の持続的な開発目標(Sustainable Development Goals、SDGs)への貢献と、企業自身の持続的な成長戦略の策定と実行が求められています。企業の税務についても、ガバナンス、地球社会への貢献、並びに持続的な成長の一環として、サステナビリティの観点からの税に関する取組みへの要求が高まっています。

一方、経済協力開発機構(以下、OECD)は、経済のデジタル化に伴う課税上の課題(以下、BEPS2.0)に対処するため、グローバルミニマム課税を導入する第2の柱のGlobal Anti-Base Erosion(以下、GloBE)ルールを公表し、100年に一度の国際課税の大改革が計画されています。

従来の企業としての財務面での成長と透明性を持った財務指標の開示から、BEPS2.0によるグローバル課税の枠組み並びに地球社会への貢献と持続的な成長への要求が相まって、企業を取り巻くグローバル課税とサステナビリティの環境が大きく変化する...