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租税事件の論点からアプローチする実務国際課税 第3回 米国デラウェア州LPS(外国事業体)を巡る税務(上)

  秋元 秀仁

( 80頁)

略歴  大蔵省主税局、国税庁調査査察部調査課(国際/審理担当)、同課税部法人課税課、同審理室、東京国税局統括国税実査官(国際/富裕層担当)、玉川税務署長、東京国税局調査管理課長、国税庁長官官房監督評価官室長、札幌国税局総務部長、高松国税局長などを歴任。現在、税理士。

はじめに

米国デラウェア州法に基づき設立された組織体/リミテッド・パートナーシップ(Limited Partnership:LPS)が行う中古集合住宅(米国所在)の賃貸事業に対し、我が国居住者(投資家)が投資し、当該LPSの事業で生じた損失(損失分配)を自己の所得(不動産所得)と損益通算(所法69①)して所得税の確定申告を行ったところ、課税庁は、当該LPSは我が国租税法上の「法人(外国法人)」に該当するから、そこで生じた損益は外国法人たる当該LPSに帰属し、我が国居住者における損益通算は認められないとする更正処分等を行った。投資家はこれを不服として争ったところ、最高裁判所は、当該LPSは我が国の租税法上、「法人(外国法人)」に該当するから、当該損益通算は認められず、当該更正処分等は適法であるとの判断を行ったものである(国側勝訴)...