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TP Controversy Report〈68〉 移転価格問題の国内取引への影響

EY税理士法人  竹内 茂樹

( 109頁)

はじめに

たまに、以下のようなご質問をいただくことがあります。

「海外子会社とのプライシングの是非について検討していたところ、最近、第三者との間で同種の取引が開始されたことがわかり、同取引を使って、国外関連取引につきCUP法が適用できることが判明した。加えて、国内に所在する子会社との取引にも同種の取引があることが判明した。当該国内取引についてもCUP法と同じ方法でその価格を見直さないと何か税務上問題が発生するか。」というものです。

移転価格税制は国外関連取引にしか適用されないため( 措法66の4 ①)、本例では移転価格上の問題が生じているわけではありませんが、国内子会社との取引価格が第三者との間のものと比べた場合に過大又は過少となっている場合には、事実認定によっては、一方の法人から他方の法人に対して寄附が行われたと扱われる可能性も出てきますので、その場合には、国内取引にも適用される寄附金税制( 法法37 )について検討しておく必要があります。

これは、移転価格それ自体の問題はありませんが、移転価格問題の解決に当たって発生してくる可能性のある問題ですので、本レポートで取り上げたいと思います。

【取引図】

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