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国際税務研究 合併を無視して日本支店の申告を続ける旧外法2社の課税関係

青山学院大学 名誉教授 渡辺 淑夫

( 118頁)

設例

 開発途上国であるA国の法人であるB社とC社とは、オーナー同士が古くから親交のあるいずれも同族経営の中小専門商社であって、商売柄、両社とも日本を含む主要数か国にそれぞれ小さいながらも現地支店を設けて事業活動を行っていたが、B社が日本支店その他の海外支店を含めて順調な黒字経営を続け、日本でもかなり多額の納税をしていたのに対し、C社は、従前はB社同様の黒字経営を続けていたものの、大口取引先の倒産による多額の貸倒れ損失の発生などの悪材料が続き、ここ数年、日本支店その他の海外支店を含めて深刻な赤字経営が続き、事と次第によっては倒産もやむなしとする最悪の状態が生じていた。

そこで、両社のオーナーが度...