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[全文公開] 国際税務の英単語 controlled transaction(国外関連取引)

佐和公認会計士事務所 公認会計士・税理士 佐和 周

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本連載は、国際税務でよく使う英語をピックアップして解説していくものですが、今回は移転価格税制に関係する一般的な用語です。

国外関連取引とは、法人が、その国外関連者との間で行う棚卸資産等の資産の販売、資産の購入、役務の提供その他の取引をいいます。この「国外関連取引」にピッタリな英訳はないのですが、 controlled transaction という表現がよく使われていると思います。

この場合の control について、「支配する・統制する」という意味合いで考えると、 controlled transaction は「関連者間取引」というイメージになります。つまり、この表現自体に「国外」というニュアンスはありません。ただ、この表現を使うのは移転価格税制の文脈なので、「それくらいは汲み取ってくれるだろう」ということです(実際にこれで問題なく通じます)。

同じような話になりますが、「国外関連者」を英訳する場合も、 associated enterprise のように表現しておけばよいと思います。これも、ちゃんと文脈で通じるので。

ちなみに、「国外関連取引」が controlled transaction だとして、その反意語である uncontrolled transaction はどう訳せばよいでしょうか? これは「非関連者間取引」という意味になります。「取引はコントロールされておらず、したがって、その価格も第三者間で自由に決めている」というニュアンスです。

ちなみに、以前お伝えしたとおり、「比較対象取引」は comparable transaction と訳すのが一般的です。ただし、比較対象取引は「国外関連取引との類似性の程度が十分な非関連者間取引」なので、非関連者間取引であることを強調して、 comparable uncontrolled transaction と訳すこともあります。

移転価格税制における controlleduncontrolled という用語の使い方は、だいたいこんな感じです。