※ 記事の内容は発行日時点の情報に基づくものです

国際税務の最新動向と新しいグローバル税務マネジメント

デロイト トーマツ税理士法人 パートナー 黒坂 史明
デロイト トーマツ税理士法人 シニアマネジャー 辻浦 貴史

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はじめに

昨今、税務部門の機能は転換期にあるといえます。税務関係法令への日常的なコンプライアンス対応を主要タスクとするものから、他部門との新たな連携や協力を含む、多様な利害関係の調整を担うものへと変化しています。その背景には、ESG・サステナビリティの観点から企業の税への取組み姿勢や納税額等の開示期待の高まりに加え、BEPS2.0をはじめとする国際課税ルールの複雑化とデータ処理要求の高まりという環境の変化があると考えられます。

このような環境の中、どのように対応すればよいのか模索されている企業は多いものと思われます。そこで、各企業の国際税務等の諸課題への取組みの概要を把握させていただき、率直な情報とご意見を皆様にお届けするため、国際税務研究会会員・読者、企業懇話会会員、税務研究会会員を対象に、国際的にビジネスを展開されている多国籍企業における国際税務への取組みについてのアンケートを2023年2月に実施させていただきました。

今回アンケートにご回答いただいた会員企業は106社にも及び、連結売上高3兆円以上から1,000億円未満まで、また、海外子会社数も100社以上から25社未満まで非常に幅広く...