[全文公開] 国際税務の英単語 transfer pricing method(TPM)(独立企業間価格の算定方法)
佐和公認会計士事務所 公認会計士・税理士 佐和 周
本連載は、国際税務でよく使う英語をピックアップして解説していくものですが、今回も 前回 に引き続き、移転価格税制に関係する一般的な用語です。
移転価格税制は、国外関連取引( controlled transaction )について、取引価格を独立企業間価格( ALP : arm's length price )に引き直すものです。この独立企業間価格というのは、端的には、独立の第三者間で取引される際に成立するであろう価格水準ですが、そのような価格をどうやって算定すればよいかについて正解はなく、一定の仮定に基づいて計算するほかありません。
日本においては、「独立企業間価格の算定方法」として、以下の6つの方法が規定されており、それぞれの事案に応じて、最適な方法を選択することになります。
(1)独立価格比準法(CUP法: Comparable Uncontrolled Price Method )
(2)再販売価格基準法(RP法: Resale Price Method )
(3)原価基準法(CP法: Cost Plus Method )
(4)取引単位営業利益法(TNMM: Transactional Net Margin Method )
(5)利益分割法(PS法: Profit Split Method )
(6)ディスカウント・キャッシュ・フロー法(DCF法: Discounted Cash Flows Method )
このような文脈で「独立企業間価格の算定方法」を英訳する場合には、 transfer pricing method という表現がシンプルでいいと思います。また、これをTPMと略すことも多いです。
上記のとおり、「独立企業間価格」自体は、 arm's length price ( ALP )なので、独立企業間価格の算定方法についても、これを使って、もう少しややこしい形で訳せるかもしれません。ただ、実際には transfer pricing method や TPM で問題なく通じるので、あえて難しい表現を使う必要性は無さそうです。