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RCEPの特恵税率利用の基本・ポイント

公益財団法人日本関税協会 教育・セミナー部長 長谷川 実也

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1.はじめに

2022年1月1日に、これまで日本とのEPAが存在しなかった中国及び韓国もその締約国に含めた「地域的な包括的経済連携協定」(RCEP)が発効しました。我が国はこれまで24か国・地域の間で21のEPAを締結し、RCEPを含め20ものEPAが既に発効しており、我が国の貿易総額の約8割がEPAによりカバーされる状況となっています。

RCEPの利用状況について、EPAの利用に係る第4回アンケートの調査結果 によれば、EPA別利用者数をみると、輸入で1位(前回(第3回)調査では12位)、輸出は日タイEPAに続き2位(前回調査では17位)となっており、また、原産地証明書の2022年の発給件数 をみると、89,956件と日タイEPAに続いて2位、2023年1月~3月では、29,719件で1位とその利用が大きく伸びています。

以前に連載した『税務部・経理部も知っておくべき関税・特恵税率活用の基本』3において、これら多くのEPAを活用し、そのメリットである特恵税率を適用するための基本的な流れを、9つのステップとして示しました(図表1)。今回は、発効後約1年半が経過し、昨年に発効した12か国に加え...