※ 記事の内容は発行日時点の情報に基づくものです

租税事件の論点からアプローチする実務国際課税 第7回 租税条約における株式保有期間要件の文言解釈と配当源泉課税

  秋元 秀仁

( 54頁)

略歴  大蔵省主税局、国税庁調査査察部調査課(国際/審理担当)、同課税部法人課税課、同審理室、東京国税局統括国税実査官(国際/富裕層担当)、玉川税務署長、東京国税局調査管理課長、国税庁長官官房監督評価官室長、札幌国税局総務部長、高松国税局長などを歴任。現在、税理士。

 事案の概要

 争点

 裁判所の判断

 検討

Ⅰ 事案の概要

  外国法人による我が国法人の完全子会社化

ルクセンブルクに本店を有する外国法人X(原告・被控訴人)は、平成26年4月29日に我が国に本店を有するA社及びB社(ともに10月決算、以下これらを合わせて「本件各子会社」という。)の全株式を取得し、完全子会社化した。そして、Xは、本件各子会社の株式を同子会社の事業年度終了の日(H26.10.31)まで継続保有していた。

  我が国法人の分割型分割

本件各子会社は、平成26年8月1日にそれぞれ他の内国法人に特定の事業を承継するため、分割型分割(以下「本件各分割」という。)を行った(完全子会社化の日から本件各分割の日の前日までの期間は、約3か月[6か月未満])。

  みなし配当課税と源泉徴収

本件各分割に伴い、本件各子会社がその対価として...