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[全文公開] 国際税務の英単語 functional analysis(機能分析)

佐和公認会計士事務所 公認会計士・税理士 佐和 周

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本連載は、国際税務でよく使う英語をピックアップして解説していくものですが、今回も 前回 に引き続き、移転価格税制に関係する一般的な用語です。

移転価格税制の文脈で、 functional analysis という表現を見かけることがあります。 function は(「機能及びリスク」でいう)「機能」という意味であり、 functional はその形容詞形です。 functional analysis は、これに analysis (分析)を付けただけなので、直訳すると、「機能分析」ということになります。

ただ、 functional analysis という表現は、ニュアンスとして、機能だけの分析ではなく、リスク(や無形資産)の分析を含んでいることもあるので、「機能・リスク分析」と訳したほうが実態に近い場合もあるかもしれません。もう少しいうと、当事者が「果たした機能」や「引き受けたリスク」という表現はよくセットで使われ、これに「使用した資産」(主に無形資産( intangible property )のことです)が追加されていることもあります。 functional analysis という表現は、これらを総合的に分析する意味合いの場合もあるということです。

ちなみに、上記の「果たした機能」は functions performed 、「引き受けたリスク」は risks assumed という訳を使うことが多いです。 to perform functions (機能を果たす)という組み合わせは問題なく理解できると思いますが、 to assume risks という組み合わせでいう assume は「~を引き受ける」という意味です。会計や税務の世界では、 assumeassumption (名詞形)をこういう意味で使うことも多いのではないかと思います。

ついでに、「使用した資産」の英訳は assets used です。これはそのままですね。 functions performedrisks assumed 等も含めて、こういった表現は、ある意味で共通言語のようなものなので、海外とのコミュニケーションの際には、覚えておくと便利かもしれません。