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[全文公開] 編集室だより

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◆中国および韓国が初めて含まれたEPA(経済連携協定)である「RCEP」が、昨年の1月から発効されています。当初、10か国で開始されたRCEPは、今年に入ってインドネシア、フィリピンでも発効し、現在では14か国において発効されています。このような状況もあり、昨年の開始当初から比べてもRCEPによる関税の特恵税率の利用件数が大きく伸びています。そこで、今月の特集「RCEP特恵税率利用の基本・ポイント」では、RCEPの特徴と留意点を踏まえ、特恵税率を利用する際の基本となる9つのステップに沿って、その活用方法について解説を行っています。昨年連載した「 税務部・経理部も知っておくべき関税・特恵税率活用の基本 」も併せ、皆さまの特恵税率の活用・検討に役立つ内容となっておりますので是非、ご覧下さい。(A.K)

◆税務当局に対する多国籍企業の移転価格ポジションは、常に厳しい視線を受けています。たとえ納税者が細心の注意を払い、適切な文書化を行ったとしても、必ずしも税務調査を避けられるわけではありません。APAとICAPは、これらの移転価格リスクを事前に管理し、潜在的な紛争を解決する手段の一つとなる可能性があります。これにより、多国籍企業は国際的な二重課税を抑制することが可能となるかもしれません。ただし、これらの制度を選択した場合でも、プロセスの進行と合意の成立が保証されているわけではないため、納税者から税務当局への協力が求められます。今回、多国籍企業がICAPを選択することで、移転価格管理が大きく改善する可能性があります。コスト、時間、労力の負担があるとはいえ、APAとICAPが提供する移転価格の確実性は、多国籍企業にとって、大きな魅力となるかもしれません。(M.L)

◆6月1日に東京国税局調査第一部国際監理官の森貞夫氏を講師に迎え「国際課税の動向と執行の現状」セミナーの収録を行いました。すでに、その収録動画を国際税務データベースにアップし、国際税務研究会会員(読者会員も含みます)、税務研究会S・G会員の皆さまは無料で視聴いただけます。国際税務データベースにログイン後→「ライブラリ」→「特別企画」よりご視聴ください。(Y.Y)

◇次号(2023年8月号)

・令和5年度税制改正における国際課税関係(「グローバル・ミニマム課税制度」以外の部分)の改正について 他

※掲載内容は変更となる場合があります。

訂 正  2023年5月号「 移転価格税制についての素朴な疑問 」66ページの「脚注34」が抜けておりました。お詫びして、以下のとおり訂正いたします(脚注番号に訂正はありません)。

34 「特定無形資産国外関連取引」とは、国外関連取引のうち、特定無形資産の譲渡若しくは貸付け又はこれらに類似する取引をいう( 租税特別措置法66条の4 第8項、 同法施行令39条の12 第14項)。