[全文公開] domestic news グローバル・ミニマム課税に係る改正省令が公布
グローバル・ミニマム課税のIIR(国際最低課税額に対する法人税等)に係る省令が、6月30日に公布された( 官報号外第137号 「法人税法施行規則の一部を改正する省令(省令47号)」等が公布)。同省令は令和6年4月1日から施行される。
改正省令では、①特定多国籍企業グループ等の判定等における基準金額の本邦通貨表示金額への換算方法(法規38条の3)、②特定財務会計基準の範囲、特定多国籍企業グループ等の範囲、所在地国の判定方法、除外会社等の範囲等(法規38条の4等)、③当期純損益金額、個別計算所得等の金額の計算、対象租税の範囲及び調整後対象租税額の計算(法規38条の13等)、④会社等別国際最低課税額のうち構成会社等である内国法人に帰せられる割合計算における非支配株主帰属額等(法規38条の30)、⑤国別グループ純所得から控除される金額、再計算国別国際最低課税額等のグループ国際最低課税額(法規38条の31等)、⑥構成会社等の所在地国にみなし繰延税金資産相当額がある場合、又は適格分配時課税制度を有する所在地国である場合の国別調整後対象租税額等の計算(法規38条の40、41)、⑦適用免除基準における収入金額の計算等(法規38条の43等)、⑧国際最低課税額確定申告書の記載事項及び添付書類等(法規38条の45等)、⑨特定多国籍企業グループ等報告事項等の提供方法の手続等( 法規68条 )などに係る細目の規定が新設されている。
欧州中央銀行が公表する前年12月の1ヵ月の平均為替レートで円換算
上記の中で、例えば①については、 法法82条 四で「特定多国籍業グループ等」の定義が示されており、多国籍企業グループ等で各対象会計年度の直前4対象会計年度のうち2以上の対象会計年度において総収入金額が「7億5千万ユーロを財務省令で定めるところにより本邦通貨表示の金額に換算した金額以上であるもの」は特定多国籍企業グループになるとされているが、この円換算方法について、「対象会計年度開始日の属する年の前年12月における欧州中央銀行によって公表された外国為替の売買相場の平均値」により円換算した金額とすると規定されている(法規38条の3)。つまり、例えば3月期決算企業で2023年4月1日~2024年3月31日の会計年度について判定する際には、欧州中央銀行から公表された2022年12月における月間平均為替レートで、円換算することになる。
IFRSといくつかの国・地域の会計基準を「特定財務会計基準」として規定
また、同制度における「連結等財務諸表」となるものは、特定財務会計基準又は適格財務会計基準(最終親会社等の所在地国で一般に公正妥当と認められる会計処理の基準)に従って企業集団の財産・損益の状況を連結して記載した計算書類等とされており、このうち「特定財務会計基準」の範囲は省令に委任されていたが( 法法82条 一イ)、これについては「国際会計基準(IFRS)」に加え、「日本、米国、インド、英国、オーストラリア、カナダ、シンガポール、スイス、韓国、中国、ニュージーランド、ブラジル、香港、メキシコ、ロシア、EU加盟国、欧州経済領域の加盟国において一般に公正妥当と認められる会計基準」が特定財務会計基準となることが規定されている(法規38条の4)。