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[全文公開] domestic news 中央省庁の令和6年度税制改正要望が明らかに

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中央省庁の令和6年度税制改正要望が出揃い、先に財務省より公表された。国際課税関係では、経済産業省より「外国子会社合算税制の更なる見直し」が要望されている。

令和5年度税制改正では、グローバル・ミニマム課税のうち所得合算ルール(IIR)が国内法制化され、それに伴い企業の事務負担軽減の観点から特定外国関係会社の適用免除要件である租税負担割合の引下げ(30%未満→27%未満)など、外国子会社合算税制(CFC)の見直しが行われた。令和6年度税制改正においてもグローバル・ミニマム課税に関する改正が見込まれており、同省からCFCについて更なる簡素化が要望された。見直し案として、①確認対象企業の絞り込み・簡素化、②経済活動基準の簡素化、③CFCとグローバル・ミニマム課税の申告時期等の関係整理、④両制度間における情報の利活用、が挙げられている。

例えば、①に関しては、現状、日本企業が米国外国関係会社の判定を行う際には複雑な州税計算を要する等、CFCの対象となるか否かの検討に多くの時間と労力がかかっており、同省としては、CFCの判定などについて簡素化していきたい考えである。

「国境を越えたサービスの提供に係る消費課税のあり方の見直し」も要望された。国外事業者と消費者間の取引(BtoC)については、国外事業者が消費税の納税義務者とされている。国外事業者によるゲームアプリの配信などが典型例だが、補足や調査の困難性から、国外事業者が消費税を申告納税していないケースも散見され課題とされてきた。これを是正するため、国外事業者に代わってプラットフォーム運営事業者が消費税を納税する「プラットフォーム課税の導入」が要望された。国外事業者における事業者免税点制度の見直しも挙げられている。

その他、金融庁から「クロスボーダー投資の活性化に向けた租税条約等の手続きの見直し」や「海外進出における支店/子会社形態の税制上のイコールフッティング」、農林水産省から金融庁と共同で、過大支払利子税制に関する改正なども要望されている。