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[全文公開] 国際税務の英単語 profit mark-up(マークアップ)

佐和公認会計士事務所 公認会計士・税理士 佐和 周

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本連載は、国際税務でよく使う英語をピックアップして解説していくものですが、今回も 前回 に引き続き、移転価格税制に関係する一般的な用語です。

日本語では、ビジネスの場面で「マージン」という表現を使うことがあります。業界によって意味は異なると思いますが、「粗利」を意味したり、「(上乗せする)手数料」を意味したりするので、「利鞘」というニュアンスが一番近いのではないでしょうか。

この「マージン」という表現に類似しますが、移転価格税制の文脈では「マークアップ」という表現を使うことがあります。例えば、企業グループ内における役務提供( IGS:intra-group service )に関して、コスト・プラスの考え方に基づき、日本側で役務提供に要した費用の額(総原価)に適正な「マークアップ」を行って対価を計算し、それを国外関連者(海外子会社など)から回収するようなケースです。

この場合のマークアップを英語でいうと、そのまま mark-up です。ただ、もう少し正確に言うのであれば、 profit mark-up ということになります。コスト・プラスをイメージして頂くとよいのですが、上乗せされているのは「利益」部分なので、前に profit を付けているということです。

もう少しいうと、 an appropriate profit mark-up という表現もよく使います。「ちゃんとした利益」がマークアップされているという意味合いです。普段はあまり意識していませんが、 appropriate (適切な)という形容詞を付けることで、独立企業間価格( ALP:armʼs length price )のニュアンスを出しているのかもしれません。

ちなみに、 mark-up は、 add (加える)という動詞と親和性が高いです。例えば、原価を計算してマークアップを乗せるときには、 take the vendorʼs cost and then add an appropriate profit mark-up などの表現が使えます。