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グローバル・ミニマム課税に関する情報申告(GIR)の概要

長島・大野・常松法律事務所 弁護士 南 繁樹
長島・大野・常松法律事務所 弁護士 伊藤 昌夫
長島・大野・常松法律事務所 弁護士 松岡 亮伍

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第1 国際最低課税額に対する法人税の進行状況¹

国際課税制度改革の第2の柱(グローバル・ミニマム課税)とは、世界的な法人税の引下げ競争に歯止めをかけるため、国 ごとに法人の利益に対し基準税率15%の課税を行う制度である。ある国の法人税が基準税率15%に満たない場合、その法人の親会社に対して不足分の課税を行う。親会社からみると、子会社の所得を自らの所得に合算して課税を受けるので、所得合算ルール(Income Inclusion Rule: IIR)という。

グローバル・ミニマム課税は約140国を広く包摂する会議体であるOECDの包摂的枠組み(Inclusive Framework、以下「IF」という。)によって合意され、我が国でも法人税法において第2編第2章「各対象会計年度の国際最低課税額に対する法人税」(82条~82条の10等)として新設され 、来年2024(令和6)年4月1日以後に開始する対象会計年度から適用される(令和5年改正法附則11条)。

本稿は、各国との合意に基づく情報申告制度に関し、OECDが2023(令和5)年7月17日に公表した情報申告の記載事項及び書式(以下「ガイダンス」と...