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[全文公開] domestic news 国税庁 グローバル・ミニマム課税に係る法人税基本通達を制定

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国税庁は9月29日、「法人税基本通達の一部改正について(法令解釈通達)」(課法2―17他2課共同)を公表した。これは令和5年度税制改正で創設された「国際最低課税額に対する法人税(いわゆるグローバル・ミニマム課税のIIR)」に係るもので、95項目の取扱いの新設(基通9―4―9、18―1―1~18―2―11、経過的取扱い(1)~(3)・新設)等の改正が行われている。

なお、改正通達と同時に公表された「法人税基本通達の主要改正項目について」の序文の中では、同通達はOECDのモデルルール等の趣旨を踏まえて改正を行っていることのほか、諸外国の税制や会計制度にはそれぞれ細かな違いが存在する面もあるため、「一義的な取扱いを定めることができないようなケースについては、例示をする」にとどめているとしている。また、上記のような面があることから、「通達中に例示がない、通達に定めれられてない等の理由で法令の規定の趣旨、本制度の導入の背景等に即しない解釈に陥ることのないよう留意が必要」であることも示している。

■「総収入金額」の範囲などの取扱いも示す

上記のとおり、改正通達では多くの項目が新設され、多岐に亘る取扱いが示されている。例えば、特定多国籍企業グループ等の判定における「総収入金額」は、多国籍企業グループ等に係る最終親会社等の連結財務諸表における売上金額、収入金額その他の収益の合計額とされているが、この「総収入金額の範囲(基通18―1―7)」には、「売上高のほか、受取利息、有価証券利息、受取配当金、有価証券売却益、為替差益、貸倒引当金戻入益、持分法による投資利益、固定資産売却益及び負ののれん発生益の科目など、計算書類における全ての収益の額が含まれる」ことを明らかにしている。また、同通達において、この総収入金額には、「除外会社等に係る収益の額も含まれること」も留意的に示している。

また、第8款―個別計算所得等の金額、第9款―対象租税、第10款―調整後対象租税額の中では、同制度における所得計算・租税額に係る取扱いが示されており、「税引後当期純損益金額の計算(基通18―1―24)」、「独立企業間価格(基通18―1―33)」、「所得に対する法人税又は法人税に相当する税の範囲(基通18―1―64)」など様々な内容が示されている。

■実質ベース所得除外額に係る経過措置時の割合は国別報告書セーフハーバーでも有効

上記のほか、改正通達では「実質ベースの所得除外額」に関する内容も示しており、実質ベースの所得除外額の計算の基となる給与等の費用額、有形固定資産・天然資源の額に係る点として、「構成会社等の従業員又はこれに類する者の範囲(基通18―2―1)」や、「有形固定資産及び天然資源の例示(基通18―2―2)」などの取扱いを示している。

なお、実質ベースの所得除外額は、給与等の費用額・有形固定資産等の額に5%を乗じて計算するとされているが、この割合には改正法附則14条5項、6項の経過措置があり、制度開始当初は5%よりも高い一定割合を用いて計算する(例えば、令和6年4月~12月に開始する対象会計年度では、給与等の費用額に9.8%、有形固定資産等の額に7.8%を乗じる。その後、この割合は5%まで徐々に逓減する)が、いわゆる「国別報告書セーフハーバー(改正法附則14条①)における実質ベースの所得除外額」についても、この経過措置の一定割合に基づき計算することを留意的に示している(経過的取扱い(3))。