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[全文公開] 編集室だより

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◆1月26日に召集された通常国会で「所得税法等の一部を改正する法律案」をはじめとする令和6年度の税制改正関連法案が審議されています。税制改正法案は、令和6年度予算案の重要関連法案でもあるので、3月下旬には参議院で可決・成立となり、3月31日までに改正法と改正政省令が公布される見込みです。今月号では、アングル欄でおなじみの川田剛先生に「 令和6年度税制改正における国際課税分野の改正が見込まれる事項 」についてご執筆いただきました。令和5年度改正で創設されたグローバル・ミニマム課税に関する改正や外国子会社合算税制の改正などのほか、税制改正大綱の中では、「法人課税」で取り上げられている「イノベーションボックス税制」の創設なども注目されるようです。(S.N)

◆国税庁から1月31日、「令和4事務年度における租税条約等に基づく情報交換事績の概要」が公表されました。「CRSに基づく非居住者の金融口座情報(CRS情報)の交換」については、個人のみならず、法人が海外に保有する金融口座も対象にしています。今回の事績では初めて個人口座と法人口座の内訳が公表されており、令和4事務年度において、国税庁は外国税務当局から日本居住者のCRS情報約253万件を受領しましたが、「個人口座が約250万件、法人口座が約3万件」の内訳となっています。国税庁が外国から受領するCRS情報は、申告内容の審査や税務調査で活用できる非常に汎用性の高い情報と思われ、今後ますます活用されていくものと考えられます。(Y.Y)

◆インドは、ロックダウンや出向者の国外への一時退避が行われるケースが発生するなど、コロナ禍において大きな影響があった国のひとつです。このインドでは、コロナ禍の影響が激しかった期間では、税務調査の期限延長措置などが行われていましたが、現在ではその遅れを取り戻すべく、本格的に調査が再開されているようです。一方で、コロナ禍において申請件数が減っていたAPA等については、その申請件数が回復している傾向も見られます。今月号の「インド移転価格に係るコロナ年度の税務調査とAPAの進捗状況」では、このような昨今のインド移転価格に係る税務調査・APAに係る状況などについて取り上げていますので、ぜひ、ご一読下さい。(A.K)

渡邉淑夫先生が2024年1月にご逝去されました。謹んでご冥福をお祈りいたします。

◇次号(2024年4月号)

・インド・中国への海外出向者に係る税務問題

・グローバル・ミニマム課税 国税庁解説Q&Aのポイント

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