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BEPS2.0各国の法制化状況と日本企業における留意点 第11回 ハンガリー

Ernst & Young Consulting Ltd. Hungary Partner Tibor Palszabo
EY税理士法人 Associate Partner Balazs Nagy

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1.はじめに

ハンガリーは、過去数十年にわたり、日本企業にとって人気の高い投資先となっています。この国には、先進国に期待される取扱いをすべて保証するビジネスフレンドリーな法制度があります。また、インフラは高水準で構築されており、人件費は高くありません。これらすべてに加え、税制とインセンティブの環境は非常に魅力的です。投資先として競合するヨーロッパの他のほとんどの場所と比べても、多国籍企業は多くの場合ハンガリーが有利であると判断します。その結果、ハンガリーへの外国直接投資はここ数年、アジアからの投資家を中心として着実に増加しています。ほとんどの投資プロジェクトは製造業関連ですが、ハンガリーはシェアードサービスセンター、研究施設、商社、持株会社、ファイナンス会社からもたびたび選ばれています。

ハンガリーの税制は魅力的で投資家に優しいものですが、同時にかなり複雑です。2017年に法人税率が9%に引き下げられて以来、ハンガリーはEUで最も低い法人税率の国となっています。法人税に加えて、企業は最大2%の地方税(地方事業税)と0.3%のイノベーション拠出金を支払わなければなりません。また、主に規制された特定の産業において、政府は、エネルギー供給企業特別税、銀行特別税など、いくつもの追加の税金を導入しています。さらにハンガリーでは、暦年以外の事業年度やさまざまな機能通貨が認められており、ハンガリー会...