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NEW ケーススタディ サウジアラビア税制1400年

グロービス経営大学院 教授・公認会計士 谷 保廣

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設例

私は現在、上場ヘルスケアメーカーにおいて海外事業戦略の最高責任者を務めています。すでに多くの競合大手が中東で事業展開しているなか、当社においても同地域への進出の是非が目下検討されています。

進出の矢所はサウジアラビアです。2023年12月の報道によれば、同国に地域統括会社を置く多国籍企業には優遇税制措置が図られるとのこと。役員のなかには、2019年の観光ビザ解禁や2030年のリヤド万博開催のニュースに、従前の「秋霜烈日なイスラム国家」というサウジアラビア観を緩和させ、拠点設立の支持に動く者もいます。

私はサウジアラビア税制の調査が喫緊の課題と考えています。ただし、イスラム世界の租税文化に全く識見がないため、表層的な理解にとどまることが不安です。

イスラム税制を史的に俯瞰したうえで、サウジアラビアに係る最新情報をご教示いただければ幸いです。

結論

イスラム税制は、今も昔も納税者がムスリムかムスリム...