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BEPS2.0各国の法制化状況と日本企業における留意点 第13回 スイス

Ernst & Young AG Partner Sarah Drye
Ernst & Young AG Senior manager Janique Spillmann
Ernst & Young AG Senior Janik Feiner

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1.はじめに

スイスは、ヨーロッパの中心に位置する26の州(canton)からなる連邦国家です。税金は連邦、州、市町村(commune)レベルで課されます。スイスは、企業にも個人にも非常に有利な税制を採用しており、州や市町村によって異なりますが、法人税率は11%~21%となっています。

日系企業グループは消費財、機械、エネルギー、製薬など、様々な分野でスイスに進出しており、スイスの魅力的な事業的立地を活用しています。

本稿では、BEPS2.0プロジェクトにおける第2の柱のイニシアチブの実施に向けたスイスのアプローチと、スイスで事業を展開する多国籍企業(MNE)への影響を探ります。まず、スイスの第2の柱の法制の現状を説明し、その主な特徴を明らかにします。次に、対象租税の概要を掘り下げ、永久差異と一時差異による課税ベースに焦点を当てます。最後に、このルールが完全に適用されるまで、時間的猶予を企業に提供する移行期国別報告(CbCR)セーフハーバーについて概説します。

2.スイス法令の現状

スイスのBEPS2.0導入の道のりは、2022年1月12日の連邦議会の最初の決定から始まりました。この決定では、2...