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TP Controversy Report〈84〉 Pillar1 利益Bへの実務対応と最新追加ガイダンス(6月17日)の概要

EY税理士法人 パートナー 矢内 卓人
 マネージャー 浦上 俊

( 106頁)

OECDから利益Bに関するガイダンスの公表が2024年2月と6月に行われました。本稿では、それらの利益Bに関する公表内容の主なポイントを簡潔にまとめた上で、企業の立場からどのような実務対応が検討し得るのかについて考察しました。

1 利益Bのポイント

OECDの「第1の柱」における利益Bは、簡潔に言えば、基礎的販売活動に対する移転価格設定を簡素化するアプローチであり、以下が主なポイントといえます。

《主なポイント》

利益Bは、独立企業間原則(ALP)に基づいて、利益B対象子会社1に一定利益を保証する。利益Bは、移転価格調査の執行能力が低い国々の税収確保に焦点を当てた制度改正である。利益Bは、販売子会社を...