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日産キャプティブ再保険CFC課税事件 最高裁判決の分析と検討(上)

 弁護士・ニューヨーク州弁護士 太田 洋

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一 はじめに

2024年7月18日、最高裁判所(以下「最高裁」という)第一小法廷は、五名の裁判官の全員一致により、日産自動車(以下、場合により「日産」という)が英領バミューダ諸島に設立した同社のキャプティブであるZが、非関連者であるメキシコの保険会社Bとの間で締結した再保険契約に基づいて収受した収入保険料(以下「本件再保険収入」という)につき、日産に対して、外国子会社合算税制(以下「CFC税制」という)に基づき同社の連結課税所得と合算して課税する旨の課税処分を行った事案(以下「本件事案」という)につき、当該課税処分を取り消して日産を逆転勝訴させた控訴審判決(東京高判令和4年9月14日判例タイムズ...