中国・インド 日系企業が直面する国際的な人材活用とその実践的課題 第4回 日本本社から海外子会社へのライセンス供与等に係る税務上の課題
AsiaWise会計事務所 公認会計士・税理士 高野 一弘
矢野綾佳税理士事務所 税理士 矢野 綾佳
多くの日系企業においては、日本本社にR&D組織を設置し、研究開発活動によって創出される無形資産を全て日本本社に帰属させることを原則としています。また、ブランドコントロールの中心組織についても、日本本社を中心に組織し、商標等についても日本本社に帰属させることを原則とする企業が大部分を占めています。これら特許、意匠、商標などを含む無形資産は、企業グループの事業上の優位性を形成するために極めて重要な資産であり、海外子会社も、これらの無形資産を利用しつつ事業を展開することになります。無形資産を海外子会社に使用させるにあたり、その使用料の設定を行う必要があります。無形資産の使用料の回収方法としては、製品の対価に含める方法やロイヤルティとして別途請求する方法が考えられます。単純な製造子会社や販売子会社と日本本社との間に直接の棚卸資産取引が存在している場合は、製品対価に含めて無形資産使用対価を回収するという方法を取り得ますが、グループ内サプライチェーンが階層化、複雑化しているグループにおいては棚卸資産対価に含めることが困難となることも想定され、ロイヤルティとして別途回収する方法のみが選択肢となるケー...