[全文公開] domestic news 国税庁 令和5事務年度の「相互協議の状況」を公表
国税庁は11月7日、 「令和5事務年度の『相互協議の状況』について」 を公表した。
令和5事務年度における相互協議事案の発生件数は212件(前事務年度比70%)、処理件数は219件(前事務年度比115%)、繰越件数は735件となった(下図参照)。
発生件数の内訳としては、事前確認に係るものが167件(79%)、移転価格課税その他に係るものが45件(21%)となっている。
なお、処理件数の219件は過去最多であり、その内訳は、事前確認に係るものが158件(72%)、移転価格課税その他に係るものが61件(28%)となっている。令和5事務年度の処理件数の増加には、様々な背景が影響していると考えられるが、多くの国の税務当局との対面協議の再開や、電話会議の活用等により、円滑な協議の実施が行われたことも要因となっているようだ。
令和5事務年度の処理事案1件当たりに要した平均処理期間は31.8か月(前事務年度30.2か月)となり、このうち事前確認に係るものは35.8か月、移転価格課税その他に係るものは21.5か月の平均処理期間となっている。なお、OECD非加盟国・地域との相互協議事案に係る処理事案1件当たりの平均処理期間は42.2か月となり、OECD加盟国と比較すると、比較的長い期間がかかる傾向がある。
繰越件数については、発生件数が過去最高だった昨年度から減少し、処理件数が過去最多となった結果、処理件数が発生件数を上回り、繰越件数は735件(前事務年度742件)に減少している。
また、繰越事案を相手国・地域別でみると、「アジア・大洋州(390件(53%))」が最も多く、次いで「米州(204件(28%))」、「欧州・アフリカ(141件(19%))」となっている。国別でみると、米国(24%)、中国(14%)、インド(14%)、韓国(8%)、ドイツ(5%)の順に繰越事案が多い。なお、繰越件数の内訳としては、OECD加盟国との相互協議事案が中心であるものの、OECD非加盟国・地域との相互協議事案も326件(全体の44%)となり、多くの割合を占めている。
令和5事務年度の相互協議事案数
(単位:件)
相互協議事案の種別 | 合計 | |||
事前確認 | 移転価格課税 | その他 | ||
発生 | 167 | 38 | 7 | 212 |
処理 | 158 | 53 | 8 | 219 |
繰越 | 595 | 126 | 14 | 735 |