※ 記事の内容は発行日時点の情報に基づくものです

各国の価格調整金に対する執行状況

EY税理士法人  竹内 茂樹
EY中国 グレーターチャイナJBS税務部リーダー パートナー 坂出 加奈
EY中国 税務部移転価格サービス ディレクター 方 瑋
EY中国 税務部国際貿易サービス マネージング・パートナー 唐 兵
EY中国 税務部国際貿易サービス ディレクター 顧 文潔
EY中国 税務部国際貿易サービス マネージャー 伍 凌娟

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1 はじめに(価格調整金を用いた移転価格コントロール)

(1) 近年ではコロナの影響、また最近は、為替レートの大きな変動に加え、米国発の関税率の流動化等により、国外関連者の利益率が大きく変動する要因がいろいろ発生しています。利益率が大きく変動する状況は、一般的に、移転価格課税リスクが増大していることを示しています。そして、その対応で難しいのは、①その利益率変動が、親会社又は国外関連者のいずれ(又、両方であればそれぞれどの程度か)に帰属する要因によって生じているのかを分析・確定させた上で、②国外関連会社(場合によっては、特定のセグメント)の利益率をいかに適正な一定水準に保つか、という点ですが、それぞれなかなか難しい判断を迫られる問題です。

一方で、BEPS2.0 Pillar1 Amount-Bのガイダンスが最終化され、各国での法制化が予定される中 、同制度に基づき現地で一定の利益率を維持することで税務当局との紛争を防ぐ、という新たな移転価格管理手法の可能性も見えてきつつあります。

このような中、価格調整金 を利用して、移転価格リスクをコントロールしようとする方法が今注目されています。

(2)価格...