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一目でわかる中国☆国際税務教室 Vol.240 中国増値税の輸出還付は輸出補助金なのか ~米中貿易摩擦2025の行方~

上海ユナイテッドアチーブメント コンサルティング 代表 公認会計士・税理士 鈴木 康伸

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トランプ政権の対等関税政策で各国が振り回される中にあって、中国は8月上旬に閣僚級貿易交渉を開催するということで、ひとり泰然自若の体であるようにもみえる。

本稿では税制、特に増値税の観点から米中貿易摩擦を考えてみるとともに、我が国も人ごとではないわけであるから同じく日本の消費税にも置き直して同時に考えてみたい。

トランプ政権の付加価値税(VAT)への不満は、

1)輸入国(中国)がVATを課税することで中国に輸出しようとする米国製品価格が押し上げられ米国の輸出者が不利になる

2)輸出国(中国)がVATを還付することで輸出企業の製品コストが下がるのは実質的な輸出補助金である

という二重の側面を有する。本稿では後者の問題に絞って論じてみよう。

■付加価値税の歴史的背景と税制のあり方

付加価値税はその歴史を紐解いてみれば、第二次大戦後のフランスにおいて輸出企業への補助金支給がGATT違反とされる問題を回避するという目的もあって、1954年に同国で税制が施行され、その後、各国が追随したという歴史的背景がある。

ちなみに、国税庁ホームページにおいて【消費税のしくみ】 が紹介されており、ここでは、

― 消費税は、商品・...