[全文公開] 編集室だより
◆ 先月号 の「トランプ関税と日本企業による移転価格対応」では、トランプ政権の関税政策に日本企業が対応しようとする場合、①米国での移転価格課税リスク、②日本での寄附金課税リスク、③日本での移転価格課税リスク、④米国での関税評価リスクが生じることを論じました。関税の上乗せ分について顧客への価格転嫁ができずに米国子会社の利益率が下がった場合、日本からの価格調整金が一つの対応策となりますが、その際には、日本での寄附金、移転価格リスクに留意するとともに、米国関税評価上も関税の還付が容認されるような体制を整える必要があります。 今月号 では、総合的なリスクマネージメントの観点から、いかなる方法が有効かについて検討いただきました。(Y.Y)
◆8月号では「令和7年度税制改正における『国際課税関係の改正』について」(サマリー版)をお届けします。令和5年度改正で創設されたグローバル・ミニマム課税については、その後発出されたOECDガイダンスなどに対応して、令和6年度に続いて今年度においても、軽課税所得ルール(UTPR)や国内ミニマム課税(QDMTT)の制度化や情報申告制度の整備が行われ、これまでの税制改正によって関連する制度のすべての法制化が完了したとのことです。外国子会社合算税制(CFC税制)においても、外国関係会社の合算時期を延長する見直しや事務負担の軽減などが行われています。グローバル・ミニマム課税では、所得合算ルール(IIR)の適用上の実効税率の計算で親会社のCFC課税に係る法人税等調整額をプッシュダウンできることも明らかとされています。国際税務データベースでは〈Web詳細版〉でさらに詳しい解説をお届けしています(今月号の7年度改正についても〈Web詳細版〉を準備中です)。(S.N)
◆今月から 「ゼロからわかるアメリカ税務」 の連載が始まりました。長年、会員の皆様より要望のあったアメリカ税務を基本から解説していくシリーズです。連邦・州・地方の三層構造からなるアメリカ税制は、専門家でさえ難解といわれますが、本連載では実務的な視点からその全体像と要点をわかりやすく解説していただきます。日本企業が注意すべき点も具体的に説明されていますので、アメリカビジネスに関わる皆様にとって、複雑な税務を乗り切るためのご参考となるはずです。ご一読ください。(K.Y)
◇次号(2025年9月号)
・東南アジア・オセアニア地域 定点観測
※掲載内容は変更となる場合があります。