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東南アジア・オセアニア地域 定点観測 主要7ヶ国における最近の税制改正と執行状況〈上〉【シンガポール・タイ・マレーシア・オーストラリア編】

PwC税理士法人 パートナー 神保 真人
PwCインドネシア パートナー 菅原 竜二

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東南アジア地域の各国税務当局は、さらなる経済の回復と成長を見据えて意欲的な税収目標を掲げ、その目標達成のために税務執行を強化する傾向がますます顕著である。このため、東南アジア地域の各国で企業活動を行う日系企業は、不安定な税務執行や突然発表される規則改正などの困難に依然として直面している。

経済協力開発機構(OECD)による「経済のデジタル化から生じる税務上の課題に対処するための二つの柱」における第2の柱(グローバル・ミニマム課税)に関する税制改正は昨年から引続き世界各国で行われており、東南アジア地域では導入にかかる閣議決定や詳細の規定など具体的な税制改正が進んでいる。オーストラリアやベトナムでは2024年から導入されていたが、2025年に入りシンガポール、タイ、マレーシア、インドネシアでも導入された。グローバル・ミニマム課税は、日本の本社および本社が起用する税務アドバイザーと連携しながら情報収集の仕組み構築を進める企業が大勢を占めていることから、本社との密接な連携が必須となると考えられる。また、フィリピンなどグローバル・ミニマム課税が未導入の国については、制度導入にかかる動向も注視してい...