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一目でわかる中国☆国際税務教室 Vol.241 担当官目線で考える中国法人清算の勘どころ

上海ユナイテッドアチーブメント コンサルティング 代表 公認会計士・税理士 鈴木 康伸

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中国法人の会社清算は電算化の恩恵もあり、規則通りに進行・完了した事案が目立って多くなってきた。感覚的には過半の事案においてそれほど大きな問題もなく、ほぼ当初の予定通りに清算が完了したのではないかと思う。とはいえ、完全自動化というわけではなく担当官によるマニュアル処理が残っているところに落とし穴があり、思わぬ税を課されたり長期化する事案もある。多大な税額は確かに重要な税務リスクの切り口ではあるのだが、清算がいつまで経っても終わらない状況もリスクの一軸であろう。

ここでは会社清算に絡んで生じる税務等の問題を、金額軸と時間軸による4象限に分割して考えてみたい。

会社清算の4象限マトリクス

縦軸は会社清算に絡んで生じる税額の大小、横軸は税務登記抹消までにかかる時間の長短であるが、担当官目線でみた好ましい方向性を右上に置いている。なるべく短期間で税が多く徴収できればGOOD(右上)、時間がかかり税徴収も少ないことはBAD(左下)となる。

横軸は担当官にとってのインセンティブ軸ということもできる。必要最小限の労力で清算事務を終わらせたい、と右へと志向する。

一方の縦軸は担当官にとっての評価軸だ。徴税額が多い...